通常、これほど巨額の最終赤字を出せば株価は大幅に下落するはずだが、今回に関しては、その赤字の「質」が評価されるかたちとなった。
同社は2020年に入り、ゼロコロナ政策による混乱や不動産不況による中国景気の冷え込みで苦境に陥った。
追い打ちをかけたのが、2023年の原発処理水放出問題に端を発した中国国内での日本製品ボイコット運動だ。これにより、同社にとっての「中国リスク」が色濃くなった。その結果一部の投資家の間では、「資生堂は中国抜きでは成長の絵が描けない」と、手厳しい批判があった。
しかし、資生堂はインバウンド需要に依存した成長モデルが崩壊したのち、着実に復活への布石を打っていた。具体的には、収益性の低いブランドや非注力分野へのリソース配分を停止し、「エリクシール」や「クレ・ド・ポー ボーテ」といった高単価・高利益率の自社ブランドへ経営資源を集中させたのだ。
これにより、しばらくは売上高が横ばい、あるいは微減という状況が続くことに。同時に、利益が確保できる高収益体質への転換を図った。2025年12月期において、売り上げが微減しながらもコア営業利益が市場予想を上回った事実からも、戦略転換が機能し始めていることを示唆している。
次に、2024年から2025年にかけて実施した早期退職優遇制度や拠点統合の成果も結実し始めている。これらの施策は短期的には特別損失を膨らませたが、結果として重くのしかかっていた販管費負担を低下させ、損益分岐点の引き下げに成功した。
一方で、最大の懸案事項であった中国市場についても、戦略の軌道修正が鮮明となっている。
高市政権下で中国と政治的な摩擦がみられるようになったにもかかわらず、株価が上昇している。市場は現在の資生堂における自律的な利益創出力に対し、前向きな評価をしているのだ。
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