今回計上された大規模な赤字のほとんどが、ドランクエレファントという美容ブランドに対する468億円にも上る巨額減損だ。同ブランドは、かつてSNS上で爆発的な人気を誇ったが、どちらかといえば元専業主婦というカリスマ的な創業者の個性に依存したものであり、資生堂が従来得意としてきた研究開発主導のブランド構築とは異質なものだった。
その結果、SNSのアルゴリズムの変化や競合ブランドの乱立、そして買収後のガバナンスの難しさが露呈したことで、ブランドの成長は急減速した。
これは、特定の勢いやトレンドという不確実な要素に依存するM&A戦略の脆さを浮き彫りにした。今回の減損処理は、そうした属人的なブランド価値への過度な期待を精算し、資生堂本来の強みである「科学に基づく信頼」という原点回帰へのプロセスだったと整理すべきだ。
2026年2月に起きた資生堂の株価急騰は、日本企業が構造的な停滞から脱却するための処方箋を提示している。それは、現実を直視し、負の遺産を早期に処理することだ。
もちろん、課題がすべて解決されたわけではない。資生堂は依然として中国における売上高比率が25%で、日本の次に影響が大きい地域のままである。国内外との競争激化や、欧米事業の再成長など、乗り越えるべき壁は依然として高い。
資生堂が2026年2月に見せた株価の急騰は、投資家にとって最悪期の脱出を期待させるものだった。しかし、その内実を紐解けば、資生堂の置かれた立場が決して楽観視できないものであることが浮き彫りになる。
長期的視点に立てば、2021年に8000円を超えていた株価は、今回の反発を経ても3300円付近にとどまっている。この数字は、資生堂が未だ凋落のトレンドから完全に脱したとは言い難い現実を突きつけている。
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