ただ、現実はそんな単純な話ではない。
経済ニュースというのは読者や視聴者に大量消費してもらわないといけないので、「A社は失速、B社は快進撃」という感じで聞いてスカッとする「分かりやすいストーリー」にまとめられてしまいがちなのだが、実際はそう簡単に優劣をつけられるものではないのだ。
例えば、値上げによる閉店ラッシュで衰退したイメージが定着している「いきなり!ステーキ」の状況を見てみよう。
「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービス(東京都墨田区)は一時期、倒産の危機もささやかれたが、2024年12月期に黒字化を果たし、復活に向けて着実に動き出している。
2月13日に発表した2025年12月期の単独決算では、最終損益は1億1400万円の赤字だったが、これは10〜12月期に不採算店舗を対象に、追加で6500万円の減損損失を計上したことが響いただけで、前期は黒字。今期の売上高は前期比4%増の145億円だった。牛肉の希少部位や期間限定商品の販売が好調だという。
また、新しいチャレンジも始めている。この10年間訴求してきた「ファストフード的なステーキ店」というイメージとは異なる、モダンでゆったりと過ごせる次世代型店舗を東京・神田にオープンさせたのである。
しかも、そこでは「値上げで客離れ」の評判とは大きく矛盾するような、限定商品を投入している。「特選ヒレシェアカットステーキ」は500グラムで8710円、「骨付きリブロースステーキ」(骨付き1枚約550グラム)も6800円。創業当時に打ち出した「1人で訪れてサッと食べていく」というコンセプトだけではなく、「家族や仲間でステーキを囲んでゆったりと過ごす」という「食のエンターテインメント性」も新たに打ち出そうとしている。
つまり、「いきなり!ステーキ」は確かに「安さ」のイメージが薄れたことで苦境に追い込まれたものの、「コスパ」だけにとどまらず、「うまいステーキをゆったりと味わいたい」「肉を囲んでワイワイと楽しみたい」という感じで「ステーキの価値向上」を目指しているのだ。
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