一般的に、日本市場におけるMBOのプレミアムは30%から50%程度が相場とされる。その中で、インフォリッチが提示した100%超の価格は、市場関係者に大きな衝撃を与えた。しかし、同社の直近の財務指標をひも解けば、その強気な価格設定の背後にある合理性が見えてくる。
2024年12月期の決算において、インフォリッチは売上高107億円、営業利益17億円を計上した。そして2025年12月期にはそこからさらに業績を積み増し、売上高144億円、営業利益20億円で着地する伸びを見せている。
また、収益の予見性が企業価値にブーストをかけている。モバイルバッテリーの設置台数が増えれば増えるほど、設置するまでにかかる初期の新規営業コスト比率が相対的に低下していき、増収分がダイレクトに利益へと転換されやすくなるという資本集約的な収益構造が完成しつつある。
また、LUUPのように駐車用に広い土地が必要になるシェアモビリティーサービスと異なり、モバイルバッテリーの設営にはほとんど場所を取らない点で、固定費の観点でも優れたビジネスモデルであるといえる。
ベインキャピタルがこの高値での買収を決めたのは、同社を単なる「充電器の貸し出し屋」ではなく、一種の「デジタル・プラットフォーム」とみなしたからにほかならないだろう。インフォリッチの事業は、設置台数利便性を生み、その利便性がさらなるユーザーを呼ぶという「ネットワーク外部性」とよばれる経済効果をうまく活用しているのだ。
チャージスポットは既にレンタルモバイルバッテリービジネスにおける国内シェアで約8割を握り、主要コンビニエンスストアを網羅している。同社の地位は、後発他社が容易に覆せるものではない。
非公開化の最大の狙いは、短期的利益を重視する株式市場の目から離れ、将来の覇権を決定づけるための巨額な設備投資を加速させることにあると考えられる。
海外市場へ進出にするにあたっては、一時的な赤字をいとわない果敢な資金投入が不可欠だ。ベインキャピタルという強力なパートナーを得て上場に関する管理コストを捨て、「身軽」になったことで、同社は数年後のグローバルな商圏というより大きな果実を射程圏内に収めうるといえるだろう。
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