「AI使ってない社員は昇進させません」――あなたの会社にも導入すべきか?「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)

» 2026年03月05日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]
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AI利用義務化の前にやるべきこと

 では、日本企業はどうすべきなのだろう。私の考えを述べたい。

 AI利用の義務化は、対象を絞って行うべきだ。具体的には、プロデューサーやディレクターの役割を担う人材、つまり管理職や経営幹部候補に限定する。彼らがAIを使いこなせなければ、組織全体のAI活用は進まない。

 一方、現場のオペレーターには義務化よりも、AIによって設計された仕組みを使わせることを優先する。彼らに必要なのは、AIを使うことではなく、現場経験を積んで自分の頭で考えることだ。経験がなければ、文脈を読む力は身につかない。

 そして何より、義務化の前にやるべきことがある。仕事を4つの役割で整理し、どの領域にAIを使い、どの領域を人間が担い、どの領域をデジタルツールに任せるのか。この仕分けをすることだ。

あなたの会社にも導入すべきか?

 冒頭の人事部長への回答に戻ろう。

 「AIを利用しなければ出世させない」という方針を導入すべきかどうか。答えは「対象を絞れば、イエス」である。

 管理職や経営幹部候補には、AI利用を義務化してもいい。彼らがAIを使えなければ、組織のAI活用は進まない。しかし、全社員に一律で適用するのは間違いだ。役割によって、AIとの関わり方は異なる。

 そして、もう一つ大切なことを伝えておきたい。

 義務化されようがされまいが、AIを使いこなせない管理職は市場から淘汰されていく。会社が義務化しなくても、市場が義務化すると私は考えている。AIを使いこなせる人材と、そうでない人材の間で、生産性の差は激しく開いていくはずだ。その差は、やがて給与の差になり、キャリアの大きな差になる。

 「AIを利用しなければ出世させない」という言葉は、近い将来、すべての企業で当たり前になるだろう。ただし、それは全社員に対してではない。文脈を読み、判断し、検証する役割を担う人材に対してである。

 AIを導入すること自体が目的になってはいけない。その機会を使って、業務の棚卸し、要素分解をしていくことだ。AI活用よりも、そのプロセスに大きな意味がある。

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