アクセンチュアは、経営幹部候補の社員を対象に、社内AIツールの利用状況の監視を開始した。AIの「定期的な活用」が人材評価の明確な基準となるという。
この動きは特異なものではない。マイクロソフトやグーグル、メタといった米国のビッグテック企業でも「AIの利用はもはやオプションではない」として、AI活用を人事評価や雇用維持の前提とする流れが強まっている。日本国内でもLINEヤフーが全従業員に生成AIの利用を義務化した。
AIへの適応が、キャリアを左右する時代が来たようだ。冒頭の人事部長が焦るのも無理はない。
2025年に入り、全社員がAIエージェントを業務に利用できるようにする動きが加速している。
ある大手生命保険会社は、営業職約3万6000人にAIエージェントを導入すると発表した。全社への適用を推進する横断組織を立ち上げ、AIデータ活用基盤も構築するという。「人とデジタルの効果的な融合」を掲げ、生成AI技術の全社適用を加速させる方針だ。
こうした動きは一見先進的に見え、メディアでも好意的に取り上げられている。しかし、私はこの動きに違和感を覚えている。
こう考えてみてほしい。かつての移動手段は「馬」だった。しかしそこに「車」が登場した。車は馬よりも速く、遠くまで移動できる。では、馬に車を与えたらどうなるか。車の上に馬を乗せ、その馬に人が乗って移動するのか。そんなことをする人はいないだろう。馬と車は、役割が重複している。共存させる意味がない。
極端だが、AIと人間の関係も、これに似ているところもあるだろう。少なからず、AIができることと食い合う人材は多数存在する。そうした人材にAIを与えても、効果がないどころか、コスト増になるだけだ。
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