推し活は「推される体験」へ 観客に囲まれる”渋谷の新感覚カラオケ”の秀逸さ廣瀬涼「エンタメビジネス研究所」(2/4 ページ)

» 2026年03月06日 07時30分 公開
[廣瀬涼ITmedia]

推し活は自己演出へと深化する

 近年、推し活は単なる応援にとどまらず、自己表現や自己投影の場としての側面も強めている。

 ライブ会場では、推しの衣装やメイクを再現するファンの姿が見られる。いわゆる「推し概念コーデ」にとどまらず、私服やステージ衣装を忠実に模倣するケースも少なくない。SNSや動画プラットフォームの普及により、メイク方法や使用アイテムの情報が可視化され、再現可能性が高まった。模倣は空想ではなく、具体的な手順を伴う実践へと変化している。

 野村総合研究所は、オタクの「消費」「創造」「情熱」に関わる特徴的な心理・行動要素として、(1)収集欲求、(2)共感欲求、(3)自立欲求、(4)帰属欲求、(5)顕示欲求、(6)創作欲求の6つを挙げている(参照:東洋経済新報社『オタク市場の研究』)。

 これに加え、現代の推し活を理解するうえで「同一化欲求」も重要だと筆者は考えている。対象そのものになりたい、近づきたいという欲求である。

現代の推し活を理解するうえで「同一化欲求」も重要になるのではないか(画像:ゲッティイメージズより)

 推しの衣装やメイクを再現する行為は、憧れの内面化であり、自己の再構築でもある。推し活は、応援文化であると同時に、自己演出の文化へと深化している。ライブ会場やSNSは、ファンが“推す側”でありながら“見られる側”にもなる空間へと変化した。推し活は、応援消費であると同時に、自己演出の消費でもあるのだ。

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