このような不祥事が起きた際、本来であれば、企業は善良な他の連載者や読者の側を取るべきだ。しかし、どこか内向きの論理から「守るべき相手」を見誤っている印象を受けてしまう。保身に走っているように映れば、さらに風当たりは強くなる。
小学館は3月4日、「週刊文春」の報道に対しての“見解”を公式サイトに掲載した。文春記事では、山本氏と被害女性の和解協議について報じられていたが、小学館は以下のように反論している。
担当編集者より法務室に相談がありましたが、弊社は当事者ではないため、弁護士への委任を山本氏に促すよう指示しております。この和解協議について、会社ぐるみで関与したとの認識はございません。
こうした対応を見ていると、事案そのものが「会社ぐるみ」ではないにせよ、そう思っている人々が多いことに向き合う必要があるのではないかと感じる。SNS社会では「事実」よりも「印象」が優先されがちなため、ただ単に事実を示したところで、好意的には受け入れられにくいのだ。
今回の炎上に重なるのが、2025年初から話題になったフジテレビの事案だ。きっかけは「中居正広さんの個別事案」だったが、最終的に企業倫理そのものを問われ、スポンサーが相次いで広告出稿を中止する結果となった。
今回の騒動も、そうした形に発展する可能性がある。いまのところ、作家がマンガワン配信を中止する程度にとどまっているようだが、今後あらゆる媒体から撤退される可能性は否定できない。また漫画以外のジャンルにも波及するおそれがある。
最大の心配は、子ども向けIP(知的財産)への波及だ。小学館は人気キャラクターを数多く擁しており、地上波のテレビアニメでも引っ張りだこだ。これら無関係の別部門であっても、もし「小学館は現状認識が甘い」と判断されてしまえば、とばっちりを受ける可能性がある。
現状の説明を見る限り、第三者委員会による検証は、マンガワンに限定されたものとなっているようだ。しかし同時並行で、全社的な検証・再発防止策の策定を行わない限り、その場しのぎの対応になってしまいかねない。
再三になるが、すでにSNSでは「マンガワン」という媒体ではなく、「小学館」という巨大メディア企業の対応に注目が集まっている。もしその主題を見誤ってしまえば、炎上の長期化・拡大化は避けられないだろう。
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