同じパンなのに、ラベルには「90円」「80円」「95円」 ダイナミックプライシング導入が進むワケ(4/4 ページ)

» 2026年03月24日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]
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ダイナミックプライシングにおける「壁」とは?

 ここまでを踏まえると、ダイナミックプライシングとは「アナログ調査」「ITシステム」「データ分析」「人的判断」を統合した経営システムといえます。AIがこれらのデータを分析し、リアルタイムで最適価格を提示する仕組みが広がっていくと考えられます。

 実現に向けては、さまざまな壁が存在します。

 まず在庫の会計の考え方を、長い期間で在庫を計算する総平均法からリアルタイムで原価把握ができる移動平均法へシフトする必要があります。全店舗で競合店の価格を高い頻度で把握するアナログの調査体制も整えなくはなりません。

 安くする商品の選定基準や、価格勝負する場合の下げ幅のルール、粗利改善の算出ロジックなど、自社独自のメソッド構築も必須です。ダイナミックプライシングのサービスを提供するIT企業やコンサル会社においては「考え方のメソッドは持っているが、ITシステムは持っていない」「競合の価格取得はクライアント任せ」など、総合的にサポートできるプレーヤーが少ないことも課題です。

 しかしこれらの課題を着実に解消し、自社独自の価格モデルを構築する価値はあまりあるほど大きいのです。今後の小売業と日本の生活を支える一助を担う、ダイナミックプライシングに注目が集まります。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

城北宣広株式会社(広告業)社外取締役

著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。

2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。

2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。

日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。


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