これに納得できないのが、ほかでもない永守氏だ。報告書を引用しよう。
「永守氏は、当委員会のヒアリングにおいても、そのようなやり方で、一代でニデックを世界的な総合モーターメーカーへと育て上げたと述べている。また、このようなやり方を否定するのであれば、日本から1兆円企業が誕生することはないとも繰り返し述べている」(報告書の224ページより)
つまり、世界と戦ってきたカリスマ・永守氏にとって「過度な業績プレッシャー」は企業を大きく成長させていくうえで必要不可欠なものであり、「永守流経営」の根幹をなすものなのだ。報告書の行間からも、自身の企業成長に必要不可欠だと信じてきたものが「不正の温床」として片付けられていることへの憤り、「経営の現実」を知らない者たちへの不満が感じられる。
そんな「永守イズム」に一定の理解を示す人も多いのではないか。筆者は仕事柄、さまざまな分野の経営者やビジネスパーソンに話を聞くことが多いが、中には「本音では社員にもっと厳しいプレッシャーをかけたいけれど、今の時代はパワハラとか叩かれるので甘やかしてしまっている」という不満を抱える人も少なくない。
背景には日本特有の「愛のムチ幻想」がある。
例えば「体罰」は子どもの心身に悪影響を及ぼすだけではなく、人間関係やパフォーマンス低下など百害あって一利なしであることが、さまざまな研究によって明らかになっている。しかし、日本ではいまだに「愛のある体罰はしつけなので問題ない」とか「本気で殴ってくれた人のおかげで今の自分がある」という考えの人がかなりいる。日本企業の中でいまだに「しごき」と「根性論」がまかり通っているのは、これが理由だ。
加えて、日本人が会社を経営していくうえで「過度な業績プレッシャー」にのめりこんでしまう根本的な問題がある。
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