同じ乳酸菌飲料を扱う企業でありながら、ヤクルトと明治HDに対する市場の評価は、前述のような理由から、大きく異なっています。
明治HDは、食品と医薬品を組み合わせた事業ポートフォリオによって収益の安定性が評価され、株価も比較的安定しています。一方のヤクルトは、明治HDよりも高い利益率を維持しながらも、持続的な成長に対する不透明感が意識されやすく、その分市場からの評価が伸びにくくなっています。
両社の事業構造やPERの動き、直近の株価を見ると、市場が評価しているのは明らかに明治HDでしょう。
ただ、私個人としては、ヤクルトの再浮上に期待しています。確かに、明治HDのような景気に左右されにくい事業構造は、ヤクルトには見られません。事業の集中度が高く、環境変化の影響を受けやすいという構造的な弱点も抱えています。
しかし、これまでのヤクルトを振り返ると、健康に関するトレンドをきちんと捉えて成長につなげています。特に、日本市場における飲料および食品製造販売の利益率は、2017年3月期の6.8%から、2023年と2024年の3月期には19%台となるなど、着実に成長しています。
今後もこうした波を捉え、ヤクルト1000に注目が集まったときのように、爆発的な成長を遂げる可能性は十分にあると考えています。
現在注目されている「睡眠の質」のように、薬に頼らずに健康を改善したいというニーズは、今後もまだまだ拡大していくはずです。また、こうした「睡眠の質の改善」のように、新しい健康課題に対するニーズが顕在化し、ヤクルトがその波を捉えて再び成長する可能性もあるでしょう。
安定性を重視する明治HDと、成長性にかけるヤクルト。それぞれの強みを生かした成長を遂げていくことが期待されますが、特にヤクルトには、その一点突破型での成長に期待したいと考えています。
草刈 貴弘
大学卒業後、舞台役者などを経て2007年にSBIリアルマーケティングに入社。2008年にさわかみ投信に転じ、顧客対応部門、バックオフィスの責任者、アナリスト、ファンドマネージャーを経験し、2013年に最高投資責任者、運用調査部長、2015年取締役最高投資責任者に就任。2023年3月に現職のカタリスト投資顧問に入社し、同年6月に取締役共同社長に就任。
投資先企業の企業価値向上に直接寄与することで、日本企業の成長と資本市場の活性化と、個人投資家の財産づくりを両立することを志向する。ファンダメンタル分析を基にしたバリュー投資を軸に、持続的成長の転換点を探るのをモットーとする。現在、朝日インテック社外取締役。東洋大学理工学部卒。
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