この流れを後押ししたのが、InstagramなどSNSでの“映える”スポットとしての盛り上がりだ。ひたち海浜公園のネモフィラやコキアは2018年頃から人気を集め、来園者数もこの時期を境に大きく増加していった。
もっとも、観光需要は季節や曜日、天候による変動が激しい。鉄道はピーク時の大量輸送には適している一方で、閑散期には駅や車両、人員といった設備が余剰となりやすいという課題もある。
そこで着目されたのが、工業地帯への通勤輸送だ。これであれば、年間を通じて安定した需要を見込むことができる。
湊線が延伸される地域は、茨城港常陸那珂港区として港湾法上の重要港湾に指定されている。もともとは旧陸軍から米軍へと引き継がれた広大な用地が返還され、1989年に起工された開発地域「ひたちなか地区」として整備が進められてきた。ひたち海浜公園の整備・開園も、その一環である。開発総面積は1182ヘクタールに及び、東京都千代田区を上回る規模を持つ。
現在、公園周辺では大規模な工業団地や商業地の開発が進んでおり、一部はすでに稼働している。新駅1(仮称)の近くには常陸那珂工業団地が立地し、現在も拡張工事が続く。さらに新駅2(仮称)周辺には、倉庫型商業施設のコストコや大型家電量販店などが出店しているほか、周辺には広大な未利用地も残されている。
湊線の延伸は、こうした企業への通勤需要や商業施設への来訪需要の取り込みも視野に入れる。加えて、阿字ヶ浦駅西側では区画整理事業が進められており、住宅地としての発展も期待される。ひたちなか市としては、市内への人口定着と市内企業への通勤利用の増加、その双方を通じて、地域経済の発展に湊線を生かす考えだ。
人口減でも利用者1.6倍、広告等の収益6000万円 茨城の「ローカル鉄道」の地域に根差した戦略
「赤字ローカル線」と呼ぶのはやめよ 廃止すべきという人が見落としている論点
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
SNSでオモチャ化する「謝罪会見」 プルデンシャルは何を読み違えたのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング