では、答えが一つに定まらない問いに直面したとき、AIとどう向き合えばいいのか。例えば事業の方向性、キャリアの選択、組織の課題。このような問いに向き合うとき、鍵になるのが「Teaching」(ティーチング)と対をなす「Coaching」(コーチング)である。
ティーチングは、答えを持っている側が持っていない側に渡す行為だ。方向は一方通行で、主導権は教える側にある。一方、コーチングは、答えは相手の中にあるという前提に立ち、問いを通じてそれを引き出す行為。主導権はコーチングを受ける側にある。
Coachの語源は「馬車」だと言われている。つまり、その本質は「目的地まで運ぶ乗り物」だ。行き先を決めるのは乗る側であり、コーチはあくまでそれを引き出して、目的地まで辿り着くのを手伝う存在だ。
Searchは自分の足で歩き回り、Teachは指差された方を見る。そしてCoachは行き先を自分で決めて乗り込む。主導権がどこにあるかが、3つの決定的な違いだ。
もっとも、ティーチングとコーチングのどちらが優れているという話ではない。ビジネスコミュニケーションの場面でも、ティーチングとコーチングは時と場合によって使い分けるべきだと言われる。だがAIとの対話においては、その使い分けがティーチングに大きく偏ってしまっているのが現状だ。
AIとの対話は双方向のコミュニケーションであり、コーチングとの相性が良い。AIはどんな質問でも受け止めてボールを返してくれる。そのやりとりを繰り返すことで自分で考える姿勢につながり、思考を深められるのだ。
だが実態は、先ほど紹介した調査の通り、ChatGPTとの1会話あたりの平均メッセージは1〜2ラリーにとどまっている。一方で、この調査には続きがある。調査の中で最も多かった会話は実に149ラリーに達していた。
同じAIツールを使っていても、1ラリーで終わる人と、何回もラリーを繰り返す人がいる。これからAI検索ではラリーの回数や深さが、差を生むのではないだろうか。
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