コロナ禍でも、清水氏はリストラを選ばず全員の給与を保証した。借り入れで当座資金を確保し、補助金が支給されるまで資金繰りを維持した。
「もともとキャッシュのある会社ではないので、この状況が2〜3カ月続いたらもう終わりだというところまで来ていました」
ある夜、暇を持て余した乗務員たちが、客を乗せず戻ってきた車を事務所の駐車場に停め、自然と輪を作っていた。その場で清水氏は率直に言った。
「このまま続くなら会社を畳まなければならないかもしれない。一緒に抜け道を探したい」
軽貨物への転換、空きスペースを使ったメダカ飼育、カブトムシ養殖などさまざまな案が出た中で、1人の女性乗務員の言葉がきっかけになった。「知り合いが『これからはきくらげ栽培がいいらしい』と話していたのを聞いた」――この何気ない一言が、新たな事業のヒントとなった。
国内で流通するきくらげの多くは中国産であり、国産は数%にとどまる。林野庁の統計でも、きのこ全体では国産が多い一方、きくらげに限ると輸入品が中心とされる。
近年の健康志向や国産志向の高まりにより、国産きくらげの需要は高まっている。国産であれば乾燥はもちろん、生きくらげとしても販売可能だ。近年、国内の生産者は増加傾向にあるものの、2022年時点で約1000戸にとどまる。きのこ類全体の生産者数(約2.3万戸)と比べると、まだ規模は小さい(参照:林野庁「令和5年度 森林・林業白書」)。
きくらげは菌床と温湿度管理の設備があれば、屋内でも生産が可能なため、しいたけなど他のきのこ類と比べて栽培の難易度は低いとされる。
菌床とは、おがくずに栄養分を混ぜ、そこにきくらげの菌を植えて2カ月ほど培養させたものだ。袋にカッターで切り込みを入れ、温度・湿度・二酸化炭素濃度を管理すると、きくらげが生えてくる。1床当たり3回の収穫で約1キロが収穫できる。
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