4月の「期待の新人」が5月に消える理由――「放任主義」上司が支払う代償「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/4 ページ)

» 2026年04月07日 08時00分 公開
[横山信弘ITmedia]

「5月退職」は年々早まっている

 新入社員の早期離職は、もはや一部の企業だけの問題ではない。

 厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によれば、大卒の新入社員のうち、就職後3年以内に離職する割合は34.9%に上る。入社1年目に退職する人だけでも10.9%だ。約10人に1人が、1年もたずに職場を去っている。

 注目すべきは、退職のタイミングが前倒しになっていることである。

 退職代行サービス「モームリ」の利用データが如実に示している。2024年度の新卒におけるモームリの利用者は、5月が298人で最多だった。2025年度になると、4月の利用者が487人に急増。前年比で約2倍だ。GWを待たず、入社数日で見切りをつける新人が増えているのである。

 GW明けに出社したくなくなる心理状態は「5月病」と呼ばれてきた。しかし現在は、そんな悠長な話ではないのだ。「5月退職」どころか「4月退職」が現実になりつつある。

なぜ、期待の新人はあっさり辞めるのか

 「最近の若者は忍耐力がない」――そう片付けたくなる気持ちは分かる。しかし、それでは問題の本質を見誤る。

 新人が辞める最大の原因は「リアリティー・ショック」だ。パーソル総合研究所の調査によると、入社後に何らかのリアリティー・ショックを感じた新入社員は全体の76.6%。約8割である。

 リアリティー・ショックとは、入社前の期待と入社後の現実のギャップによる心理的衝撃を表す言葉だ。「クリエイティブな仕事ができると思っていたのに、雑務ばかりだった」「職場の人間関係が想像と違った」「聞いていた条件と実態が違う」。こうしたギャップが、入社直後の新人の心を折る。

期待と現実のギャップが、新人の心を折る

 加えて、現代には「辞めやすい環境」が整っている。転職サイトはスマートフォン1つで閲覧できる。退職代行サービスを使えば、上司と一言も交わさずに退職が完了する。Job総研の調査では、社会人の94.3%が「退職への心理的ハードルが下がっている」と回答している。

 さらにマイナビの調査によれば、社会人1年目の約7割がすでに転職の意向を持っているという。「とりあえず3年は働く」という常識は、もう通用しない。合わないと思えば、すぐに次の選択肢を探す。それが現代のキャリア観だ。

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