その「無駄な業務」とは何か。
Sansanが従業員500人未満の企業706社を調べたところ、1カ月あたりの平均振込件数は115回、平均振込手数料は4万5829円だった。年間にすれば55万円規模の固定費である。
だが経理現場で本当に重いのは、この金額そのものではない。手数料を少しでも安くするために費やされている、その周辺の業務だ。
典型的なのが、複数口座の使い分けである。同調査では、複数の銀行口座を保有する企業が43.5%、そのうちの平均保有数は約4口座に上る。同一行宛てにすれば手数料が安くなるため、取引先の口座がある銀行に合わせて振込元の口座を選ぶ。取引先がメガバンクならメガバンクから、地銀なら地銀から振り込む。そのためだけに複数行の口座を開設し、資金を移してから振り込む企業さえある。
さらにBill Oneの利用企業の中には、営業担当が取引先と「振込手数料は当方負担か先方負担か」を交渉しているケースもあるという。請求書に複数の口座情報が書かれているのは、相手の手数料負担を下げるための「送付側の優しさ」でもある。
背景には、取引適正化の流れもある。下請法の改正などを受けて、振込手数料を当方負担にする企業は増えている。相手に満額を支払うのが基本姿勢となり、差し引けていた手数料分がそのまま自社のコストに乗る構図だ。手数料という固定費に加え、その固定費を下げるための業務コストまでが、経理現場に積み上がっている。
笠場氏はこの一連の業務を「本来やらなくてもいい無駄な業務」と断じたうえで、こう続けた。「この業務をなくすためには、構造上、振込手数料がかからない状態を作るしかない」
手数料の削減ではなく、手数料の存在そのものが生み出している業務を消す──それが今回の施策の狙いだ。
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