両事例の報告書から共通して言えるのは、「誰もが、言いたいことを言いたい時に言える」ことの有無が、不祥事発生のカギを握っていること。トップ主導の組織的不祥事防止には、いわゆる「風通し」こそが重要です。
ニデックのように、オーナー系長期政権の実権者が絶対的な統治権を持っている場合「風通し」は悪くなりがちです。一方、東芝のような平均2〜6年の短期政権であるサラリーマン企業においても、官僚的組織管理が生み出す「事なかれ主義」的な風潮がまん延すると、「言いたいことを言わない方がいい」的な風土に陥ることが多々あるのです。
特に「名門」などと言われる大手企業などでは、過剰な官僚的組織管理により組織のピラミッドが厳格になりすぎて、上に対して「言いたいことが言えない」雰囲気ができあがってしまうこともあります。
結論として申し上げたいことは、ニデックにみられるような組織型不祥事は決してオーナー系のワンマン体質だけから起きるわけではなく、非オーナー系のサラリーマン組織でも、官僚的組織管理の弊害によっては十分に起こり得るということ。そして、組織型不祥事の原因はその大半が組織内の「風通し」の悪さであり、トップの強権性でも起きるが、組織の硬直化も要因になるということです。
組織内において、相手が誰であれ「言いたいことを言いたい時に言える」風土であるか否か。少しでも危惧を感じるならば、あなたの会社も不祥事リスクは大いにあると言えるでしょう。
株式会社スタジオ02 代表取締役
横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。銀行では企画、営業企画部門を歴任し、06年支店長職をひと区切りとして円満退社した。その後は上場ベンチャー企業役員などとして活躍。現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーをする傍ら、出身の有名超進学校人脈や銀行時代の官民有力人脈を駆使した情報通企業アナリストとして、メディア執筆者やコメンテーターを務めている。
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