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もはや「カードの会社」ではない──「金利のある世界」で、クレディセゾンが選んだ戦い方 水野社長に聞く(1/3 ページ)

» 2026年06月08日 06時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 「金利のある世界」と聞いて思い浮かぶのは、住宅ローンや預金金利だろう。借りる側、預ける側の話である。

 だが、お金を「貸す側」に回ると景色は反転する。中でも「逆風だ」と語られてきたのが、預金を持たず市場から資金を調達するノンバンクだ。金利が上がれば、調達コストが重くのしかかる、と。

 ところが、クレディセゾンの2026年3月期の連結事業利益は約1020億円と、前期から約84億円増えた。その利益を支えるのは、もはやクレジットカードではない。「カードの会社」という世間の像と、利益の実態がずれてきているのだ。

 なぜ逆風が逆風にならないのか。クレディセゾンは、何の会社になりつつあるのか。水野克己社長は「一長一短」と前置きしつつ、金利の復活を機会だと捉える。

クレディセゾンの水野克己社長(編集部撮影)

「金利は本来あるもの」――逆風を先に織り込んでいた

 金利上昇を不意打ちと受け止めた金融機関は少なくない。だが同社にとっては、予測していた変化だった。

 「そもそも金利がない、マイナスとかゼロというのは、本来、資本主義ではあり得ない話じゃないですか。本質的に、金利はあってしかるべきもの。昔、うちの会長が(経営の一線で)やっていたころなんて、公定歩合が7%、8%の世界でした」

 公定歩合とは、かつて日銀が民間銀行に貸し出す際に使用していた基準金利のこと。7〜8%といえば、今では考えられない高金利だ。

 「われわれのようなノンバンクは預金を持たないので、調達環境については、金利が上がることでマイナスのインパクトがある。ただ、金利があること自体が、本来は普通の状態。いつかそういう時代が来ると想定して、構造改革をやろうと考えてきました」

 銀行は預金を元手に貸すが、ノンバンクは社債などで市場から資金を集めるため、金利上昇が調達コストを直撃する。それでもクレディセゾンの固定金利調達比率は約7割で、まだそれほど痛みはない。

 改革の号砲は2021年3月の社長就任だった。「『今のやり方では衰退していく』と発した。抜本的に、ゼロベースで変えなきゃいけない、と」。守りだけではない。カード1本に頼る収益構造から抜け出す試みも、ここから始まった。

FY2025決算サマリー(クレディセゾン FY2025決算説明会資料より)

「サービスはタダ」をやめた――値上げという“賭け”

 最初に踏み込んだのは、自社に染みついた「タダ」の文化だった。

 水野社長は振り返る。「小売出身のカード会社で、サービスはタダというイメージでオペレーションしていた。資産を積んでいくらではなく、付加価値に対価をいただく形に変えないと、金利上昇の中では耐えていけない

 2〜3年ほど前から、リボ払いや分割払いの手数料を順次引き上げた。一部の対象カードでは、1年間全く利用がなければカードサービス手数料を課す。「ずっとタブー視されてきたものを一気に変えた。現場は大変だったと思う」

 賭けでもあった。手数料を上げれば顧客は離れてしまうと考え、離反も計算に入れた。ところが――。「意外や意外、全然顧客離れは起きず。残高は順調に拡大している」と水野社長は語る。

 なぜ顧客は離れないのか。「米国だと、(手数料率が)上がったらよそで使う、と残高ごとスイッチングできる。でも日本は、それが法的に難しい状況がある。リボ利用者も少ない。1回払い文化があって、分割や月賦には借金のイメージがある」

 値上げの痛みは想定より小さく、収益は積み上がった。金利の上がり方も、当初予測より緩やかだという。

 守りは固めた。だが、守るだけでは伸びない。攻めの取り組みはどうしたのか。

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