数年前から「管理職は罰ゲーム」と呼ばれるようになりました。
職場では上からも下からも責められ、家庭では妻からも責められる中間管理職は、いつの時代も“会社の変化”のとばっちりを真っ先に受けてきた気の毒な存在でした。しかもその多くが「プレイング・マネジャー」です。チームの管理を担うマネジャーの役割を果たしつつ、現場でプレイヤーとしての成果を求められる。特に課長さんの立場は、もはや限界を超えていると言っても過言ではありません。
「課長になってから、ぐっすり眠れたことは一度もない」
「前例を覆す決断の難しさに直面している。出口が見えない」
「期待していた部下が突然辞めてしまった。自分の何が悪かったのか」
「休日も仕事のことが頭から離れない。どうやって気分転換をしたらいいのか」
などなど、会社では言えない“本音”を山ほど聞きました。「課長って、日本で一番大変な仕事では?」と感じるほどです。
そんな「上の苦労」を目の当たりにすれば、下の世代に管理職アレルギーが広がるのは必然でしょう。
第一生命経済研究所が非管理職の一般社員に実施した昇進に関する調査では、48%が「昇進を希望しない」と回答。エフアンドエムネット(大阪府吹田市)が実施した調査では、63.3%が「管理職になりたくない」とし、56.7%が「自社の管理職が『罰ゲーム化している』と感じる」と回答しています。
しかしながら、階層組織は下から見上ると見える景色が、上から見下ろすと全く見えない。その結果、疲弊し切っている管理職に「部下とのコミュニケーションには細心の注意を払え」「厳しいことは絶対に言うな」「感情に寄り添え」「優しく共感的に接しろ」etc,etc──。新たなプレッシャーを畳み掛けます。流行りの「共感マネジメント」です。
Z世代の台頭とともに「思いやり」「信頼」「つながり」「親切心」といった共感力なるものが、上司に求められるようになりました。海外、特に米国では、共感的な行動が、離職率の低下、生産性の向上、企業文化の強化につながるとする調査研究が多数存在するので、すぐやめる新人、転職に色めき立つ30代社員を、つなぎ止める策として、共感呪縛なるものが管理職をさらなる苦境に追い詰めているのです。
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