「30歳以下の社員は2人」から一変 山口県の建設会社に「370人超の学生」から応募が殺到するワケ(1/3 ページ)

» 2026年04月27日 07時00分 公開
[中根ほづ美ITmedia]

 山口県下関市に拠点を置くコプロスは、創業80年の総合建設会社だ。同社は建設業界の深刻な課題である「高齢化」と「人手不足」をDXによって打破し、注目を集めている。

 同社の変革は2013年にさかのぼる。当時、社員の平均年齢は47歳、全社員約100人のうち、30歳以下の若手はわずか2〜3人にとどまるなど、高齢化が進んでいた。新卒採用も休止しており、この先も企業を持続的に成長させていけるのか、危ぶまれていた。

 そこで、同社が着目したのがデジタル技術の活用だった。

 一般的にDXでは「業務効率化」を目的に掲げる企業が多いが、同社は一貫して「人材課題の解決」を主目的に据えてきた。建設業では、ベテランの社員が長年働く中で培ってきたノウハウで業務が回っているケースも多く、人材の受け入れや新しい手法の導入において、障壁となっていた。そこで、DXにより働きやすい環境を作ることで、若手が長く働ける環境の整備を狙った。

 「高齢化している会社の中で、デジタル技術の導入は容易ではありませんでした」

 こう話すのは、同社のDXを率いた専務取締役の宮崎隆司氏。当時は、社員にスマートフォンを支給したものの「パスワードの管理ができない」「意図せず電話をかけてしまった」といったトラブルが日常茶飯事で、社員からの問い合わせや相談に追われる毎日だったという。

photo01 コプロス 専務取締役 宮崎隆司氏(提供:コプロス)

 そんな同社は現在、国土交通省の「中国インフラDX表彰」や経済産業省の「DXセレクション2025」に選ばれるなど、デジタル先進企業として高い評価を獲得している。その成果は採用数にも直結しており、採用の応募者数は2023年に123人、2024年に268人、2025年に378人と増加している。

 同社はどのように属人的な組織を変革し、採用競争力を高めてきたのか。その具体的なプロセスを追う。

600万円の投資失敗から学んだ「小さく始めるDX」

 コンサル会社で働いていた宮崎氏は、家業であるコプロスを承継するため、2013年に入社。現場ごとに分断されていた情報を可視化するため、iPhoneやGoogleカレンダーを社内に導入するなど、円滑に情報共有できる環境の整備からスタートした。

 不慣れな社員たちにデジタル機器の使用法を伝えることに苦労しながらも、徐々にデジタル化の利便性を浸透させていった宮崎氏だが、DXを進める中で失敗も経験したという。

 営業先情報の共有のため、600万円かけて営業部門にSalesforceを導入したが、多すぎる入力項目や「営業先を共有すれば、自分の成績が下がるのではないか」という現場の抵抗により、半年後の利用率は10%以下にとどまったという。

 「いきなり完璧を目指してもうまくいかないことを学びました。この経験から、DXの方針を、小さな成功体験を徐々に広げていく形にシフトチェンジしています」(宮崎氏)

 同社では、ベンダーに大掛かりなシステム導入を依頼することはほとんどなく、現場で必要だと感じたシステムやアプリを内製し、改良を続けることで、自社で使いやすい仕組みを構築している。

 現在は、ChatGPT、Gemini、Claudeをセキュアな環境で使用できる生成AI活用プラットフォーム「exaBase」などを活用してシステムを開発している。

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