入社2年目の2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、全国のゲームセンターは休業を余儀なくされていた。KOPの3タイトルは全てアーケードゲームであるため、イベントの開催自体が危ぶまれた。
「この大会をここで止めてしまったら、アーケードゲームの競技シーンが終わってしまうのではないかと思いました。さまざまな事情でその年しか出られない選手もいます。諦めず開催すると決めました」
検討の結果、決勝大会は無観客・オンライン配信で開催する形に切り替えた。
しかし、解決すべき課題は山積みだった。例年、決勝大会は会場に設置した実機で選手がプレイするため、選手は東京会場まで足を運ぶ必要があった。しかし、外出自粛要請が出ている地域に住む選手は、東京へ移動することが難しかった。
プロジェクトチームで話し合い、最終的に取った手段は、各地のゲームセンターを中継会場として使う方法だった。選手が住む地域のゲームセンターに協力を依頼し、店舗のゲーム機を借り、運営スタッフを派遣する。本会場と各地の会場を映像で結び、複数拠点から選手が出場する形で大会を成立させた。
選手にとってもファンにとっても、同じ大会は二度とない。だからこそ、運営側は責任を持って舞台を届けなければならない。この考えは、その後の大会運営にも生きているという。
2025年2月に開催した第6回大会「KING of Performai The 6th」(KOP6th)を含む音楽ゲームの年間プロモーション施策で、植村さんが率いるチームは社長賞を受賞した。さらに同年、ドライブゲームの年間プロモーションも担当し、こちらでも社長賞を獲得。ダブル受賞となった。
KOP6thでは、植村さんはイベント全体のプロデュースを担った。ゲームの開発チームから挙がる要望を吸い上げ、実現可能な形に落とし込んだ。また、制作会社などと連携し、プログラム構成や演出を決めていった。コロナ禍以降、無観客開催が続いていた決勝大会の有観客形式も復活させ、オンライン・オフラインともに盛況のうちに幕を閉じた。
植村さんは「特別に、新しい試みをしたわけではない」と振り返る。
「KOPには長く携わってきましたが、毎回劇的な変更を加えているわけではありません。小さな改善を積み重ねてきた結果が評価されたと思っています」(植村さん)
改善の中心にあるのは、ユーザーの声を反映する姿勢だ。例えば「出場枠が少ない」という声を受けて「最終予選」という新しい枠を設けた。また「会場の臨場感を配信でも味わいたい」という声には、観客席の歓声が配信に乗るよう調整して応えた。
植村さんが向き合った課題がもう一つある。アーケードゲーム特有の制約だ。
アーケードゲームは、法律上の制約により高額賞金を出すことができない。「この大会で勝利することの名誉」を、運営側が価値として打ち出す必要がある。
出場者にはスポンサーロゴ入りのユニフォームを着用してもらう、客席の中央にT字の花道を設け、選手が観客の歓声を浴びながらステージに向かう構成にするなど、選手の“権威”としての価値を高める演出で支えた。
ユーザーの声への対応と、権威付けの工夫。この両輪を地道に積み重ねたことが、50万回再生、同時接続者数約1.5万人という結果につながった。
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