エアークローゼットの黒字化を支えた大きな要因の1つは、1配送当たりのオペレーションコストを創業時の6500円から現在の2500円まで削減したことにある。ただし、特定の施策で一気にコストが下がったわけではない。
天沼氏自身もクリーニング工場に足を運び、ストップウォッチを片手にパートスタッフの動線を観察し、最も効率のよい作業に統一するといった改善を繰り返した。
「クリーニング1回当たり5〜10円のコスト削減でも、1配送で3〜5着、毎日数千点を発送すれば、その効果は非常に大きくなる」(天沼氏)
中でも大きな効果をもたらしたのが、洗濯に耐えられるRFID(電波で情報を読み取る自動認識技術)タグの全品導入だ。レンタル事業では同じデザインの服が100点あっても、どの1点が誰に貸し出されているかを把握しなければならない。
当初は、返却されたアイテムを写真と目視で照合していたが、全アイテムにRFIDタグを付けたことで、ゲートを通すだけで個体IDを識別できる仕組みに転換した。創業当初は洗濯に耐えられるRFIDタグが高額(1枚約500円)で、仕入れコストが大幅に増加することから導入できなかった。その後、1枚100円を下回り、事業規模とのバランスを見極めて導入を決断した。
コスト削減を支えた要因として、パートナー企業との関係構築も挙げられる。エアークローゼットはクリーニングや物流の委託先を価格で切り替えるのではなく、自社スタッフが工場に入り込んで業務効率化をともに進める協業型のアプローチを採っている。効率化によって生まれた余力分だけ取扱量を増やし、パートナー側のトータル利益も確保する設計だ。
コンサルティング会社のように現場に入り込むこの手法は、コスト削減にとどまらない価値を生んでいる。パートナーの処理能力が上がれば、ユーザーの手元に届くまでの時間も短縮される。自社、パートナー、ユーザーの三者にメリットが及ぶ仕組みを、10年かけて築いてきたことが、このビジネスモデルの強みといえるだろう。
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
「残クレアルファード」はこうして広まった マイルドヤンキーとトヨタの“最適解”
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モールCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング