Google「25年で最大の刷新」 AI検索、新モデルで“OpenAI対抗”鮮明に【発表まとめ】

» 2026年05月20日 16時35分 公開
[ロイター]

 米Alphabet傘下の米Googleは5月19日(現地時間)に「検索エンジンへのAIエージェントの組み込み」「高速で安価な新しいAIモデル」などを発表した。企業向けサービスで勢いを増す米Anthropicや米OpenAIの台頭をけん制する狙いだ。

 最近、時価総額世界1位の米NVIDIAに迫ったAlphabet。今回は「購入手続き」「チケットの空き状況確認」「スケジュール作成」などのタスクをリアルタイムで自律的に実行するエージェントを発表し、Google検索やYouTubeなど主力コンシューマー向け製品の強化を図った。

 Googleのサンダー・ピチャイCEOは「ユーザーは、Google検索のAI機能を利用すると、さらにGoogle検索を使うようになる」と述べた。

 これらは、米カリフォルニア州マウンテンビューで開催されたGoogleの年次開発者会議「I/O」の発表内容だ。激しいAI競争での巻き返しを図ってGemini AIモデルをアップデートした2025年冬以来の大型発表会となる。Googleは、巨大なユーザー基盤をAI分野での優位性に変える姿勢を鮮明にした。

photo Googleの年次開発者会議I/Oの様子((C)2026 Thomson Reuters)

「25年で最大の刷新」 AI検索、新モデルで“OpenAI対抗”鮮明に

 AIによる競争激化や新興企業の台頭に対する防戦を強いられていた過去のカンファレンスとは異なり、ピチャイCEOをはじめとするGoogle幹部は、AIの未来を主導する立場を強調した。

 AI研究所のGoogle DeepMindで責任者を務めるデミス・ハサビス氏は「後になって振り返れば、われわれはシンギュラリティの入り口に立っていたと気付くだろう。人類にとって極めて重要な瞬間になる」と語った。

 Googleは、新しい「Gemini 3.5」モデル群を基盤とする多数の新ツールも発表した。同社は、コーディングや自動化タスク向けに設計した「Gemini 3.5 Flash」をリリースした。ピチャイCEOは「Gemini 3.5 Pro」を6月に提供開始する予定だと明かした。

photo Gemini 3.5 Flashの発表シーン((C)2026 Thomson Reuters/Manuel Orbegozo)

AI利用料を値下げ 低価格戦略で「企業のコストを3分の1に」

 Googleは、高度なAIモデルや利用枠を提供するAIサブスクリプションの最上位プラン「Google AI Ultra」の料金を、月額250ドルから200ドルへ引き下げた。開発者や業務利用者向けを対象にした月額100ドルの新しいプランも発表した。

 多額の予算を持つ企業顧客へとAI競争の舞台が移る中、Googleは低コストを前面に打ち出している。

 ピチャイCEOは「多くの企業が、まだ5月にもかかわらず年間のトークン予算を使い果たしつつあると聞いている」と述べた。トークンとは、AIモデルが処理するデータ単位を指す。

 同氏は、大企業などのヘビーユーザーがGoogleのAIモデルへ切り替えることで、年間10億ドル以上を節約できる可能性があると説明した。カンファレンス前の記者説明会では、GoogleのAIモデルは他社の最先端モデルと同等の性能を発揮しつつ、コストを最大3分の1に抑えられると語った。

photo Googleのサンダー・ピチャイCEO((C)2026 Thomson Reuters/Manuel Orbegozo)

 IPO(新規株式公開)を視野に入れるOpenAIやAnthropicは、収益性の高い企業顧客の獲得を進めている。Googleはコーディング支援ツール「Antigravity」の新バージョンを投入し、市場をリードするAnthropicの「Claude Code」に対抗する。

 Googleは2025年、人気のAIコード生成ツール「Windsurf」を開発したスタートアップから主要な人材を採用し、AIによるコーディング機能の強化を進めていた。

新エージェント「Gemini Spark」 Googleサービス群を徹底活用

 今回の発表は、AIへの本格的な取り組みによって自信を深めたGoogleの姿勢を示している。同社は、OpenAIの「ChatGPT」のようなチャットbotや「Perplexity」などの新興AI検索サービスによって競争優位性が揺らぐとの市場懸念を払拭(ふっしょく)してきた。

 GoogleはChrome、Gmail、YouTubeを含む自社製品群の個人データとGeminiを連携させることで、巨大なユーザー基盤をAI分野での優位性へ転換した。

 GoogleはI/Oで、複数のGoogleサービスから情報を取得し、レポート作成やスケジュール管理を行う新エージェント「Gemini Spark」も発表した。

 ピチャイCEOによると、Geminiの月間利用者数は現在9億人に達しており、2025年5月時点の約4億人から倍以上に増加した。Google検索の「AI Overviews」機能は月間約25億人、「AI Mode」は約10億人が利用しているという。

 検索エンジンは今後、一部の検索クエリ(検索キーワード)に対し、科学的な概念を説明するビジュアルやコードの生成、フィットネストラッカーのようなツールの生成を可能にする。

 検索部門を統括するバイスプレジデントのリズ・リード氏は「Google検索は次の段階へ進む。優れたAI機能が検索に加わるだけではなく、Google検索そのものが、隅々までAI検索になる」と述べた。

 Googleの収益の柱である検索および広告事業を担当するシニアバイスプレジデントのニック・フォックス氏は、I/O開催前のインタビューで「今回の変更は、検索ボックスにとって25年で最大の刷新である」と語った。

 Google検索は、2025年のAlphabet最大の収益源であり、同社の年間売上高4028億ドルを支えた。GoogleはAIインフラ投資を拡大しており、2026年の設備投資額は1800億〜1900億ドルを見込んでいる。

“バズった”画像生成AI「Nano Banana」の後継が登場

 Googleは、動画生成モデル「Gemini Omni」も発表した。Google幹部は、このモデルを画像生成ツール「Nano Banana」の後継と位置付けた。Nano Bananaは、2025年9月にわずか4日間で1300万人の新規ユーザーを獲得し、Googleにとって数少ない“バズった”AIサービスである。

 ハサビス氏は、Gemini OmniはGoogleが掲げる「ワールドモデル」構想を一段階進めるものだと説明した。ワールドモデルとは、現実世界の物理法則をシミュレーションできるモデルを指す。

 同氏は「まずは動画から始めるが、将来的にはGemini Omniがあらゆる入力からあらゆる出力を生成できるようになる」と述べた。

 Googleはさらに、韓国のSamsungおよびアイウェア企業の米Warby Parker、韓国のGentle Monsterと共同開発しているスマートグラスについて、2026年秋の投入予定を明らかにした。

photo Googleのスマートグラスを試着する様子((C)2026 Thomson Reuters/Manuel Orbegozo)

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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