“AI時代”を築いた、米OpenAIの牙城が崩れ始めている。ベンチャーキャピタルの米Menlo Venturesは、企業によるLLM(大規模言語モデル)への支出に占めるOpenAIのシェアが、2023年の50%から27%に低下したと推計している(2025年12月のレポートより)。
代わりに台頭したのが、新興AI企業の米Anthropicだ。同レポートによると、2025年時点でLLM支出に占めるAnthropicのシェアは40%に上るとされる。コーディング領域の市場シェアはAnthropicが54%、OpenAIが21%と推計されており、Menlo Venturesは「開発者向けAI『Claude Code』(クロード コード)の人気が主な要因だ」と分析する。
国内でもClaude Codeの活用事例が登場している。楽天やマネーフォワードが、大きな成果を上げた。両社が手にしたビジネス成果と、それを可能にしたAnthropicの戦略を解き明かす。
本稿は、RX Japan(東京都中央区)が4月17日に開催したイベント「NexTech Week」の基調講演に登壇した、Anthropic Japan(東京都千代田区)の岡田大志氏(シニアアカウントエグゼクティブ)の講演と、同社が公開した「楽天の導入事例」「マネーフォワードの導入事例」を基にしたもの。
Anthropicは、元OpenAIの研究者らによって設立された。Google親会社の米Alphabetや米Amazonなどの出資を受けている。代表的なプロダクトであるClaude Codeは、ITエンジニアを支援するコーディングアシスタントだ。
「楽天では、Claude Codeを単なるアシスタントではなく、“1人のエンジニア”として活用しました」(岡田氏)
楽天は、1250万行に及ぶソースコードを含むプログラムの改善をClaude Codeに指示した。熟練エンジニアが張り付く必要のある高度な内容だったが、AIが7時間で、自律的に作業を完了させた。エラー率は0.01%にとどまり、そのまま本番実装できるレベルだったという。
同社のエンジニアは「Claude Codeに4つのタスクを任せ、自分は残りの1つに集中することで、5つの業務を並行して進めることが可能です」とコメントする。
楽天は、Claude Codeを使うことで24営業日かかっていた新機能のリリースを5日に短縮できるとしている。開発から市場投入までの時間(Time to Market)を約80%削減でき、ビジネス展開を加速させているという。
マネーフォワードは、エンジニアの約80%が業務でClaude Codeを利用している。特に活用しているエンジニアを対象にした調査では、1人当たり平均週7時間の業務時間削減につながっている。
同社は、会計ソフトなどを銀行やクレジットカードといった外部サービスと連携している。この連携に使う「API」の接続口を実装する作業にClaude Codeを活用。これまで5日かかっていた作業時間を約70%削減し、2時間にできたという。
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