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1on1は「上司が求める正解」を答えるだけ──本音を言わない社員を変える“いい対立”の作り方河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)

» 2026年05月22日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

企業は社員の「本音」を必要としているのか

 人は、明確な敵意や恐怖があるから本音を隠すのではありません。

「こんなことを言って、評価に響いたら面倒だな」

「変にやる気があると思われて、仕事を増やされたら嫌だな」

「過去に中途採用者が正論を言って干されていたな」

 といった、言語化するまでもない微細な「リスク回避の防衛本能」が働いた結果として「いい人」の仮面をかぶる。どんなにリーダーや経営層が「本音を言ってもペナルティーはない」と力説したところで、部下たちは「リスクはあってもメリットがない」と判断します。

 この非対称性を無視して「さあ、本音をどうぞ」とお膳立てする施策は、期待する効果を得るのが極めて困難です。

kk 人は、微細な「リスク回避の防衛本能」が働いた結果「いい人」の仮面をかぶる(提供:ゲッティイメージズ)

 そもそも企業は、組織運営において本当に社員の「本音」を必要としているのでしょうか?

 「上司のこういうところが嫌いだ」「この制度は不満だ」といった情緒的な本音は、ガス抜きにはなっても、必ずしもイノベーションや業績向上には直結しません。企業が真に回収すべきは情緒的な本音ではなく「現状の施策に対する懸念」や「業務プロセスへの違和感」、つまり「生産的な異論」です。

 不確実性の高い現代のビジネス環境において、全員が同じ方向を向いている組織はもろいと言わざるを得ません。現場の違和感、上層部の方針、これまでの前例や成功体験に基づく施策に対する異論こそが、企業の致命的なリスクを未然に防ぎ、新たな事業機会の種になります。

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