トランプはなぜ「くら寿司USA」を買ったのか 背後にちらつく“エビ・サーモン争奪戦”スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2026年05月27日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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水面下で繰り広げられる争奪戦

 「たかがサーモンで大げさだな」と冷笑する人も多いだろうが、あの中国もトランプ大統領が掲げた「水産物の競争力回復」に敏感に反応して、「サーモン安全保障」に動き出している。

 中国政府が国策として推進する世界最大級の大型養殖船「国信1号」。その船内ではアトランティックサーモンを養殖している。5月11日には、12トン分(1尾4キロ換算で約3000尾)が山東省の青島港で初めて水揚げされたという。

 近年は中国でもサーモンの人気が高まっていて、2030年までに需要は21万トン超と拡大が予測されている。現在、8割以上を輸入に依存している中国にとってサーモンは「弱点」ともいえる存在なのだ。

争奪戦はどうなる?(出典:くら寿司USA)

 米国が天然、養殖、培養という形で着々とサーモンの生産に力を入れていく中で、中国が出遅れてしまうと、かつてレアアースで起きたように、貿易戦争における交渉カードにされてしまう恐れもあるのだ。

 トランプ大統領の「くら寿司USA」株の大量購入は、日本では「間違いじゃない?」とか「日本の回転寿司は世界的に人気だからね」という感じで、比較的軽いトーンで語られている。

 しかし、この動きの水面下ではかなりヘビーな問題が進行している。自国民がバクバク食べている食料をどうやって安定的に確保するのか。そして、貿易戦争が起きた際、それらが「弱点」にならないようにどう備えておくか。米中を中心に熾烈(しれつ)な争奪戦を繰り広げているのだ。

 気がつけば、マグロやサーモンの供給主導権を米中に握られていた、なんて怖すぎるオチにならないよう、トランプ大統領が進める「水産物の競争力回復」のようなことを、日本政府もより危機感を持って取り組む必要があるのではないか。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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