“火葬インフラ”はどうあるべきか 売却報道で注目される東京博善の公共性世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2026年05月30日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

日本の葬送文化を支えてきた東京博善

 まず、東京博善について簡単に説明したい。1921年に設立された同社は、日本の葬送文化を100年以上支えてきた。年間の火葬取扱件数は約7万件で、23区内のシェアは約70%とされる。(関連リンク

 桐ヶ谷、落合、代々幡など6つの斎場を運営し、安倍晋三元首相やアントニオ猪木元参院議員の荼毘(だび)も執り行われた。皇室と縁が深い斎場もある。

 全国の火葬場の大半は公営だが、東京23区は事情が異なる。9施設のうち7施設が民営で、そのうち6施設を東京博善が運営している。背景には、戦前から都内で火葬場を運営してきた歴史的経緯がある。1948年の墓地や埋葬などに関する法律(墓地埋葬法)施行時に公営化すべきだったとの指摘もあるが、新たな火葬場の建設は住民の反対により極めて困難なため、同社が高いシェアを維持してきた。

 そして昨今、東京博善を巡ってメディアで話題になっていた最大の論点は、火葬料金の大幅な値上げだ。2020年までは6万円を切っていたが、段階的に引き上げられ、2024年6月以降は9万円。他県では1万〜2万円程度の地域もある中、文春オンラインによれば「4年間で約52%の増額」という。(関連リンク

東京博善は東京23区の火葬で高いシェアを持つ(画像提供:ゲッティイメージズ)

 この値上げと時期的に重なったのが、親会社である広済堂HDの株主構造の変化だ。

 2019年には、米ベインキャピタルがTOB(株式公開買い付け)を仕掛け、村上ファンドや麻生グループも交えた争奪戦の末、最終的にラオックス買収などで知られる、中国・上海出身の実業家、羅怡文(ら・いぶん)氏が関連会社を通じて株式を取得。2022年1月には持ち株比率を40%超に引き上げ、筆頭株主になった。羅氏は現在、広済堂HDの会長CEOと東京博善の役員を兼任する。

 2025年6月には、鈴木庸介衆議院議員が「中国資本の影響による火葬・葬儀に関する質問主意書」を国会に提出。産経新聞も社説で取り上げ、東京23区の区長で構成する特別区長会も厚生労働相に法改正を要請した。(関連リンク

 東京博善側は「中国資本の影響は受けていない」と説明している。(関連リンク)また、外国資本による経営への影響や個人情報管理についても、適切に対応しているという。一方で、さまざまな意見が出ている。

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