背景には、人事という仕事が社内に閉じやすいことが挙げられる。採用、労務、制度設計、研修と専門領域が細分化されている上、個人情報を扱うために社外で語りにくい業務も多い。
藤村氏は自身の人事職経験も踏まえ、その状態を「ガラパゴス」と表現する。「制度や組織文化に強くひもづく仕事のため、自分の経験やスキルが市場でどの程度通用するのか、客観的に把握しづらい」
社内に閉じることは、キャリアパスの見えにくさにも直結する。特定領域で専門性を高めても、その先の受け皿は管理職以外に乏しい。「採用のプロ」になっても、次に進む道筋が描きにくいのだ。
もう一つの要因が「可視化」の問題だ。人事のキャリアは選択肢がないのではなく、選択肢が十分に見えていないだけだという。「メディアで著名なCHRO(最高人事責任者)を見かけても、語られることは『今、何をしているか』が中心。どんな経験を積めばそこにたどり着けるのか、その過程はほとんど可視化されていない」と藤村氏は指摘する。
出世のプロセスは、語らないことが美徳とされる空気もある。結果として、後進が参照できるロールモデルが乏しくなる。実際、キャリアを描けない理由として「ロールモデルが見つからない」(31.1%)、「自分のスキルがどの程度通用するか分からない」(26.9%)が上位に挙がっていた。
やりがいの強さとは別の次元で、人事は自らの将来像を見失いやすい構造に置かれているといえそうだ。
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