採用できたのに組織が回らないという事態は、採用計画の段階で見落とされやすい3つの空白から生じています。
最も頻発している空白は、マネジメント層の不在です。エンジニアを複数人採用したものの、技術チームを束ねる役割を担う人材がいない状態です。
優先順位の判断やチーム間の調整、経営への報告などのマネジメント機能が欠けているため、個々の能力が組織の成果に結び付きません。エンジニアリングマネジャー(以下、EM)やテックリードといった「チームを機能させる役割」の採用や育成を後回しにしてしまうケースで陥りやすいといえます。
IPAの「DX動向2025」によれば、日本で最も不足しているDX人材は「ビジネスアーキテクト」(43.0%)であり、米国やドイツがデータサイエンティスト不足を挙げるのとは対照的な結果となっています。
ビジネスアーキテクトとは、DXの目的設定から導入・効果検証まで関係者をつなぎながら推進する人材のことです。現場の言葉にすると、まさにEMやテックリードに近い役割となります。
単にコードを書く人を集めるのではなく、技術をビジネスの成果へとつなぐ役割の人材をまず確保すること。それこそが、レガシーの呪縛を解き、真の内製化へと踏み出すための最短ルートなのです。
「何を使って作るか」「どのアーキテクチャを採用するか」「技術的負債をどう扱うか」──こうした意思決定を担える人材が不足していると、個々のエンジニアが各自の判断で動き、技術的な一貫性が保てなくなってしまいます。
CTO(最高技術責任者)やVPoE(Vice President of Engineering)などの上位職を後から採用しようと考えている企業もいますが、チームが一定の規模になってからでは、既に定着した文化や技術スタックの変更が難しくなります。
採用支援の現場でも、内製化が機能し始めた企業に共通しているのは「自社のシステム構造を熟知し、事業の目的と技術を両方語れる人材」が社内にいることです。そういった人材がいるかいないかで、その後の採用の質も組織の動き方も大きく変わってくるといえるでしょう。
IPAの「DX動向2025」では、特に、要件定義・技術選定・アーキテクチャ設計といった上流工程の内製化が最も優先されていることが分かっています。「何を作るか・どう作るか」の権限を自社に取り戻すことが内製化を進める中で一番重要視されている部分であり、そこを担える人材こそ最初に確保すべき存在です。
採用を個別に進めてしまうと、複数人が重複してアサインされたり、プロジェクトを進める際に担当できる人が存在しなかったりと、さまざまな問題が発生しやすくなります。バックエンドエンジニアを複数採用した一方、インフラやセキュリティを専門に見る人が採用できていない、といったケースがこれに当たります。
採用計画の段階で「組織図」と「職能マップ」を準備し、どのポジションに何人採用する必要があるのか明確にしておくことが大切です。
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