実は、印西市にDCが集まるようになったのは、生成AIブームがきっかけではない。
2000年前後、稼働停止が許されない基幹システムを抱える銀行や証券会社などの金融機関が、災害に強く広い用地を求めて、西東京エリアから千葉ニュータウンに大型の自社DCを構えたのが始まりとされる。
※参照:SCSK(東京都江東区)netXDCコラム「印西が『データセンター銀座』と呼ばれる歴史的背景と立地要件」
こうした金融機関の「絶対にシステムを落とせない」というニーズを満たす印西市は、DC建設の立地条件にも合致した。その結果、クラウドの巨人たちが続々と集まってきた。印西市が「DC銀座」と呼ばれるまでになったのは、そもそも四半世紀にわたり、金融機関の基幹システムを支えてきたという実績と信頼の積み重ねがあるからなのだ。
もっとも、印西市側は歓迎一色というわけではない。DCは固定資産税などで自治体に多額の税収をもたらす一方、巨大な建屋のわりに雇用を生みにくいという特徴がある。
実際、印西市では新たな開発計画をめぐって住民の反発も起きているという。閑散とした巨大な箱が、ただ電力と土地を使う風景に地域社会がどう折り合いをつけていくかも、これから問われていく論点となるだろう。
DCは早ければ2〜3年、長くても5年あれば建設できる。
一方で、新たな発電所や送電線の建設には7〜10年、場合によってはそれ以上かかる。需要は数年で立ち上がるのに、それを支える電源は10年がかり。このギャップが、DC側にとっては立地を縛る重い足かせになっている。
好条件だった印西市も、今後は飽和が予想され、印西市だけでは収まらない状態になっている可能性がある。そのため、DC用地の新規需要は、電力が豊富で土地に余裕のある北海道や九州といった地方へと向かい始めている。
一流企業がなぜ印西市に集まるのかを突き詰めていくと、電力と安全かつ広大な土地需要をどうまかなうのかという、大きな問いに行き着く。印西市のDC過密は、その問いの最前線なのである。
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