みずほ銀行産業調査部・流通アナリスト12年間の後、独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。執筆、講演活動:ITmediaビジネスオンラインほか、月刊連載6本以上、TV等マスコミ出演多数。
主な著書:「小売ビジネス」(2025年 クロスメディア・パブリッシング社)、「図解即戦力 小売業界」(2021年 技術評論社)。東洋経済オンラインアワード2023(ニューウエイヴ賞)受賞。
家電量販店最大手のヤマダホールディングス(以下、ヤマダHD)と、同じく大手のエディオンが経営統合し、売上規模約2.5兆円の巨大家電量販店が誕生した。これは2位の倍以上の規模であり、圧倒的なトップシェアとなる。
統合の主な目的として明らかにされたのが、スケールメリットを生かした共同仕入れによるコスト抑制と、両社のプライベートブランド(PB)家電の調達力強化である。
現在、ヤマダHDではドラム式洗濯機などのPB売り上げが全体の11.2%ほどを占めている。また、エディオンもデザイン性と実用性を両立させた「ビジュ家電」などのPBに力を入れており、その売上比率は35.6%に達しているという。
家電量販店のPBといわれても、いまひとつピンとこない人もいるかもしれない。日本の家電が世界を席巻していた時代を知る世代からすると、家電はナショナルブランド(NB)メーカーの製品だという印象が強いだろう。
もちろん、家電の主流がNBであることに変わりはない。ただ、家電量販店がPBの売り上げを増やそうとする動きは強まっている。背景には、かつてとは大きく変わった家電メーカーと量販店の業界環境がある。
かつて世界をリードしていた日本の家電メーカーは、近年、中国や韓国などのアジアメーカーに押され、事業の縮小や売却を相次いで進めてきた。
家電メーカー同士が激しいシェア争いを繰り広げていた時代には、家電量販店において、各社が自社製品を売るために莫大な販促コストをかけて競い合っていた。家電量販店側も、競合他社と価格競争をしながらシェアを奪い合っていた。
その結果、家電量販店業界ではヤマダHD、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、エディオン、ケーズデンキといった大手への寡占化が進み、競争に敗れた多くの中小チェーンは統合・再編されていったのである。
本稿では、ヤマダHDとエディオンの統合を起点に、家電量販店におけるPB家電の意味がどのように変わってきたのか、そして今後の競争軸がどこに移っていくのかを考えてみたい。
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