CXの基本とされるのが、顧客の不満や不便を解消する「ペインポイント」の削減だ。
小野氏が例として挙げるユニクロでは、店舗に在庫がないという不満をアプリの在庫確認機能で減らしている。会計待ちによるストレスも、ICタグを活用したセルフレジによって減らしている。こうした取り組みは、ペインポイントを削減し顧客体験をよりスムーズにする典型例といえる。
CXの改善は、ペインポイントを減らしながら、付加価値を感じる「ゲインポイント」を増やしていく作業でもある。ただ、ペインポイントの最小化とゲインポイントの最大化だけがCX改善の本質かというと、実際はそう単純ではないと小野氏は指摘する。
それに関連する指標として、JCSIでは、満足度だけでなく「感動指数」と「失望指数」も測定している。
感動指数は「うれしい」「楽しい」「ワクワクした」「驚いた」といったポジティブな感情経験を数値化したもの。一方の失望指数は「がっかりした」「イライラした」「つまらない」といったネガティブな感情を測定する。
感動は必ずしも、常にポジティブな状態から生まれるわけではない。
スポーツ観戦を例にすると、常に勝ち続けるチームよりも、長く低迷していたチームが復活したときや、試合終盤の逆転劇などに強く心を動かされることがある。
「弱かったチームが急に強くなったり逆転したりする。ある種のギャップが楽しいこともある。必ずしも平坦でストレスのない体験だけが、われわれにとって快適というわけではない」
ただ、全ての業界が感動体験を目指す必要もないという。
鉄道、銀行、生命保険、通信といったインフラ系サービスには、利用者は感動よりも安定性を求める。通信回線がつながらない、システム障害が起きるといった失望体験は強く記憶されるが、日常的に感動を求めているわけではない。
このように、業界やサービスの特性によって目指すべき顧客体験は異なるのだという。
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