居眠りを「サボり」とみなしてきた職場文化も変わり始めている。
筆者はかつて雑誌編集部で働いていた頃、夜に情報提供者などと会う機会が多かったため、昼休みに仮眠室を利用してリフレッシュしていた。学生時代にアルバイトをしていた建設現場でも、昼食後に職人たちが事務所で軽く昼寝をしてから午後の作業を始めていたことを覚えている。
もっとも、こうした仮眠の習慣は一部の職場に限られたもので、一般的なホワイトカラーの職場では、勤務時間中の昼寝は「サボり」と見なされることも少なくなかった。
しかし、近年はその位置付けが変わりつつある。企業が仮眠を生産性向上の手段として捉え、積極的に取り入れる動きが広がっている。前述の三菱地所は「ナップルーム」を設置し、従業員に30分の仮眠時間を設ける実験を実施。集中力やモチベーションの改善効果を確認している。
また、ITスタートアップのネクストビートは、男女別の「戦略的仮眠室」をオフィス内に設置し、アロマや防音設備を備えた空間で短時間の仮眠を推奨している。
こうした取り組みは、仮眠を「サボり」ではなく、生産性向上のための投資として位置付ける企業文化の変化を象徴するものだ。さらに近年は、仮眠を支援する音響システムや、睡眠データを活用したスマートアラームなど、睡眠テクノロジーと組み合わせる動きも広がりつつある。
観光・宿泊業でもスリープテックを活用したサービスが始まっている。
ホテル椿山荘東京では、S'UIMINの脳波計測サービスを活用し、宿泊前と宿泊中の睡眠を解析して医師のアドバイスを受けられる宿泊プランを提供している。また、カプセルホテルを運営するナインアワーズは、カプセル内のセンサーで呼吸やいびき、体動などを計測し、宿泊客に睡眠解析レポートを提供するサービスを展開。睡眠時無呼吸症候群などの疾病リスクについても参考情報として提示し、必要に応じて医療機関の紹介につなげる仕組みを整えている。
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