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請求書は青天井 Microsoftトップが「AIモデル大手に主導権を渡すな」と叫ぶ真意(4/4 ページ)

» 2026年07月13日 07時00分 公開
[湯川鶴章、エクサウィザーズ AI新聞編集長]
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「脱OpenAI依存」のMicrosoft モデルも基盤も両方押さえる

 特定のモデルにロックインされるなという助言は、裏を返せば「モデルは交換可能な部品にして、その部品を差し替える基盤――つまりMicrosoft――に主権を置け」という営業でもある。

 しかもMicrosoftは6月、他社モデルからの蒸留に頼らず、イチから学習した自社推論モデル「MAI-Thinking-1」を発表し、モデル層でも「脱OpenAI依存」を着々と進めている。モデルはコモディティだと言いながら、自らはモデルも基盤も両方押さえにいく周到さだ。

 Palantirも同様である。マニフェストが説く、主権を守りながらアルファを複利で増やす設計とは、具体的には同社の中核製品「オントロジー」――企業のデータ、業務ロジック、実行権限を一元的にモデル化する仕組み――の上に、交換可能な部品としてAIモデルを載せる構成のことだ。

 つまり9項目の檄文は、一皮むけば同社プラットフォームの仕様書である。X上で「結局Palantirを買えという話か」という冷笑が飛び交ったのは、この構造を見抜かれてのことだ。

 それでも、である。発信者に思惑があることと、主張が的外れであることは違う。トークン費用の膨張も、業務ノウハウがモデル提供側に吸い上げられかねないという懸念も、企業が現実に直面している深刻な問題であり、だからこそ6600万ビューという数字が付いた。そして、この機運の変化を最も敏感に察知しているのは、名指しで批判された側――OpenAIをはじめとするAIモデル大手そのものである。

photo 米Palantir Technologiesの本社

本記事は、エクサウィザーズが運営するAI新聞内の記事「AI制御層の時代(1)「AI主権を渡すな」の大合唱」(2026年7月4日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。

著者プロフィール

湯川鶴章

AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。


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