「いっそ全員出社にしてください」 出社とテレワークの“不公平感”はなぜ生まれるのか「キレイごとナシ」のマネジメント論(2/4 ページ)

» 2026年07月22日 09時47分 公開
[横山信弘ITmedia]

「全員一律にすればラク」という発想

 こうした不公平感を解消するために、多くの企業が選ぶ手段が「公平性を保つため、全社的に出社体制へ戻す」というものだ。

 全体でルールを統一するのは、管理する側にとっては、正直ラクだ。全員一律のルールにしてしまえば、例外を管理する手間がなくなる。しかし、管理される側の社員にとってはそうはいかない。個々の事情は、一律のルールでは決して吸収しきれないからだ。

 一律のルールが生まれる背景には、「公平性」という言葉がしばしば使われる。私もいろいろな経営者からこの言葉を聞いてきた。

 「工場で働いている人はテレワークできない。なのに本社でデスクワークしている人は、在宅勤務を選べる。これは不公平でしょう」

 こういった理屈だ。

 しかし、そんなことを言い始めたら「産休」「育休」なんて誰も取得できなくなる。「男性育休」なんて、夢のまた夢だ。

 「なぜ子どもを産んだら休めるんだ。不公平だ」

 こんなふうに言い始めたら「働き方改革」など、進まなくなってしまうだろう。

 不公平感を解消しようとした結果、別の形の不公平を生み出してしまう。これは決して珍しい話ではない。制度というものは、こうした二律背反を抱えているものだ。片方の不満を解消しようとすると、もう一方に新しい不満が生まれてしまう。

社員教育の世界は、もっと柔軟になっている

 面白いことに、社員教育の世界では全く逆の方向へ進んでいる。

 かつて社員教育といえば、全てリアルな集合研修が当たり前だった。決まった日時に、決まった場所に集まり、全員が同じ内容を同じペースで学ぶ。それ以外の選択肢は、ほとんどなかった。

 しかし今は違う。オンライン研修なら、日本全国はおろか、海外の駐在先にいる社員も同時に参加できる。5分から10分程度の動画とテストで学べる「マイクロラーニング」も広まっている。スキマ時間に、スマートフォンで手軽に学べる形式だ。

 さらに、オンラインと対面を組み合わせる「ブレンディッドラーニング」を導入する企業も増えている。基礎知識はオンラインで学び、実践や対話が必要な部分は対面で行う。学ぶテーマによって手法を変え、社員一人一人に合ったやり方を選べる。これが、今の社員教育の姿だ。この方が、それぞれの社員のレベル、仕事のペースに合わせられる。

社員教育はより融通が利くようになった

 この発想は、教育の現場ではすでに当たり前になりつつある。当社も、クライアント企業に合わせて、リアルやオンライン、動画や音声教材など、いろいろな媒体を組み合わせて研修プログラムを提供している。なぜなら、その方が圧倒的に効率的であり、効果的だからだ。

 そんな時代にもかかわらず、

 「社員教育といったら、リアルで集合研修するのが一番効率がいいんだ。それ以外は認めない」

 と人事部が言い出したらどうか? 単に管理するのがラクだからそう言いたいだけだろう、と社員は受け止めるだろう。

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