もう一つの構造変化は、共働き世帯が増えたことです。労働政策研究・研修機構が公表している資料によると、1986年は、専業主婦世帯が56.9%、共働き世帯が43.1%でした。それが2025年には専業主婦世帯26.3%、共働き世帯73.7%と完全に逆転しています。
専業主婦世帯が主流だった時代の夫は、多くが仕事だけに専念できる専業就労者です。子どもが生まれても子育てを担うのは基本的に妻だけであり、職場にしわ寄せが出るような事態はあまり生じませんでした。
しかし、共働き世帯が圧倒的に多い現代では男性の意識も変化しつつあり、十分か否かは別にして、夫も子育てに携わる機会が増えています。さらに男性の育休取得率も大きく増加傾向にあり、子育ては妻だけでなく夫の職場にも少なくない影響を及ぼすようになってきました。
国民生活基礎調査によると、2025年は子育て世帯の母親の81.2%が仕事をしています。正社員として働いている母親の比率も年々増加していて、2025年には34.7%と全体の3分の1を超える水準です。保育園などに預けていたとしても、子どもの発熱で急な呼び出しがあるなど、職場にも影響を及ぼします。
つまり、子育て世帯の比率は減少して少数派になっているにもかかわらず、共働き世帯が主流となったことで、子育ての影響が及ぶケースが夫婦双方の職場で増えているのです。
子育てが自分ごとではない世帯が圧倒的に多くなっている一方、子育て世帯の社員から仕事のしわ寄せなどの影響を受ける機会が増えているのであれば、職場で分断を感じやすくなったとしても不思議ではないように思います。
職場によっては、通常、簡単には早退や欠勤などが許されないにもかかわらず、子育てが理由の場合は許されるといったケースも見られます。そんな状況が特権のように映る場面が目立つと、分断は起きやすくなってしまいます。早退や欠勤が、子育て世帯に限った特権と思われないようにするには、職場の常識をひっくり返す必要があります。
働き手は、個々に異なる事情を抱えています。自身に病気やケガ、障害などがあったり、家族に介護が必要だったりします。推し活に夢中で楽しみなイベントがあったり、気分がふさいでしまって仕事に集中できない日があったりもします。早退や欠勤したい理由は、子育て以外にも、それぞれにあるものです。
過度に早退や欠勤を繰り返し、仕事が回らなくなるとしたら問題かもしれません。しかし、業務が滞りなく回るのであれば、基本的に問題はないはずです。誰にでも個々の事情はあるものなのに、子育てが理由であれば早退や欠勤しても認められ、他の人は我慢を強いられるとしたら、特権のように感じられやすくなります。
常識をひっくり返し、業務を適切に回せることを前提に、誰もが早退や欠勤を選択しやすい職場になれば、子育て自体も個々の事情の一つに過ぎなくなり、子育て世帯だけの特権と感じる人は少なくなるように思います。
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