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京都・八幡市長の産休取得に賛否 職場で子育て世帯との「分断」がここまで進む、根深い理由働き方の見取り図(3/3 ページ)

» 2026年07月24日 07時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]
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子育て“だけ”が特別にならない職場風土に

 勤務ルールを一律適用する常識にもメスを入れる必要があります。例えば、一般的に職場では「月〜金曜日の午前9時〜午後6時」などの定時が設けられています。ただ、実際の業務は、定時通りに勤務しないと回せないとは限りません。

 保育園からの呼び出しがあったものの、明日の朝までに資料を確認しなければならない場合、休むという選択肢しかなければ、資料確認の納期を延ばしてもらう、他の誰かに確認してもらうといった対応になります。

 しかし、資料確認にそれほど負担はかからず、少し時間を確保できれば滞りなく仕事を回せるといったケースはあるものです。そのような場合は、一度職場を離れて子どもを迎えに行き、病院に連れていくなどして落ち着いた夜の時間に、少しだけ仕事を再開して資料を確認すれば対処できるかもしれません。さらに、在宅勤務できる環境が整っていれば、職場に再出社する時間も不要です。

 もし、定時順守などの勤務ルールを一律適用する常識を覆し、子育て世帯に限らず、誰もが個々の事情に応じた柔軟な勤務形態を選べる個別最適型の働き方が常識となれば、誰かが特別視されなくなります。

 そうなれば焦点は、仕事が滞りなく回せるかどうかに絞られます。冒頭で紹介した川田市長の産休取得では、副市長が代理を務め、重要事項はオンラインで協議するなどで対応すると報じられています。市長が産休を取得していても公務が滞りなく進められれば、新しいスタンダードとしての定着が期待できます。

 一方、子育て世帯とそれ以外との分断だけでなく、子育て世帯同士でも意見が分かれることがあります。いまは少数派となった専業主婦世帯などでは、社会保険などの扶養枠が利用されています。

 中でも第3号被保険者制度については、保険料を負担せずに年金を受けとれる仕組みを不公平だと感じる声などが、同じ子育て世帯からも聞かれており、縮小や廃止について議論されています。しかし、私が研究顧問を務めているしゅふJOB総研の調査では、第3号被保険者当事者の約7割が「縮小も廃止もしない方が良い」と回答しました。

photo02 第3号被保険者制度について:当事者と当事者以外または不明な人との比較(出所:しゅふJOB総研のプレスリリース、n=326)

 体調を崩していたり、障害がある子どものサポートで家を空けられなかったりと、働く意思はあっても働けない環境に置かれている人もいれば、第3号被保険者制度があることを前提に生活設計している人もいます。

 制度の在り方は全体最適の観点から考えるべきものだと思いますが、個々の事情にも配慮した上で、丁寧に議論する必要があります。

 一部の人だけが特権を持っているかのように見なされる空気があるうちは、どうしても分断が生じやすくなってしまいます。求められるのは、人によって事情が異なることを認め合い、個々に最適な選択がしやすい社会へと移行することなのではないでしょうか。

著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)

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ワークスタイル研究家。1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員の他、経営企画・人事・広報部門等の役員・管理職を歴任。所長として立ち上げた調査機関『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ5万人以上の声を調査。レポートは300本を超える。雇用労働分野に20年以上携わり、厚生労働省委託事業検討会委員等も務める。NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」他メディア出演多数。

現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構 非常勤監査役の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。


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