モーニングサービスを利用する顧客層について、すかいらーくHDの担当者は「コロナ禍前と比べて、モーニングを利用する客層に大きな変化はないが、シニア層や会社員、週末はファミリー層に多く利用いただいている」と話す。利用者の顔ぶれは大きく変わっていない一方で、それぞれの層の利用頻度が高まり、市場全体が拡大しているとみられる。
背景には、高齢化やリモートワークの定着が挙げられる。リタイアしたシニアが時間を過ごす場として朝から飲食店を利用するケースや、カフェやファミレスで朝食を取りながらPC作業をするリモートワーカーの姿も珍しくない。学生などが勉強の場として利用している様子も見られる。
夜勤従事者による「がっつり系の朝食」需要も無視できない。仕事を終えた後の食事として、朝からボリュームのあるメニューを求める層だ。働き方改革などで夜勤の在り方は変わりつつあるが、依然として夜間に働く人は多く、こうした需要は根強く残っている。
モーニングを実施する店舗を訪れると、立地によって利用のピーク時間が異なることが分かった。郊外に位置し、車移動のビジネスパーソンが多く立ち寄る山田うどん食堂では、午前9時台に客足が伸び、モーニング終了の午前10時を過ぎると客数は減少した。一方、同じ郊外でも駅前のドトールコーヒーショップでは、電車通勤前の時間帯である午前7時〜8時台が混んでいた。経営側にとっては、ピーク時間やアイドルタイムに合わせて、人員配置や料理の仕込みなど、細やかな運営の工夫が必要だと感じた。
このように活況を呈するモーニング市場だが、課題もある。農林水産省の「食育に関する意識調査」(2025年度)によると、60代以上では8割超が「ほとんど毎日朝食を食べている」と回答した一方、20〜30代では約6割にとどまった。
年齢が若いほど朝食を食べない人が多く、モーニング市場の拡大は若年層の朝食習慣の定着には十分つながっていないことがうかがえる。同調査で20〜30代の約3割は「週に2〜3日食べる/ほとんど食べない」と答えており、2015年調査の約2割と比べると、むしろ悪化している。
朝食を抜くと、脳のエネルギーが不足して集中力や記憶力の低下につながると言われている。空腹時間が長くなると昼食時に血糖値が急上昇しやすく、食後に眠気や倦怠感が生じる可能性も指摘されている。朝から頭がさえず、昼もぼんやりしている状況は望ましくない。
朝はなるべく長い時間寝ていたいという気持ちも理解できる。そうした層に、朝食を食べに来店してもらうきっかけをどう作るかが、モーニング市場のさらなる成長の鍵になりそうだ。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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