両社は同じ家電量販店でありながら、品ぞろえやサポート体制にはさまざまな違いがあり、特に選択肢が限られる地方都市においてはいずれも貴重な存在だ。そのため、ヤマダとエディオンの「どちらの店舗が残るか」によっては品ぞろえやサービス網が縮小する地域が生じる可能性がある。
統合に合わせた物流、配送、設置網などの統合や人員配置の見直しも避けられず、地域経済への影響も避けられないだろう。
統合後の課題は、競争環境やサービス網だけではない。統合後に生まれる「遊休不動産の処理」も大きな問題の一つだ。
こうした業界大手同士の合併後の店舗統合によって生まれた遊休不動産の処理は、かつて大手都市銀行の経営統合の際にも課題となった。しかし、都市銀行の店舗は都市中心部の一等地が中心で、また自社物件ではないビルに入居している例も多くあり、比較的売却などが容易だった。
一方、ヤマダやエディオンの店舗の多くは、郊外型かつ一般的な食品スーパーやドラッグストアよりも広い店舗面積(おおよそ3000〜5000平方メートル前後)の大型店だ。自社所有物件であるケースも多い。
仮に商圏が重複する店舗の多くを閉鎖するとしても、閉鎖後の活用方法を検討しておかないと、大量の遊休不動産の処理が統合効果を打ち消す要因となる可能性もあるだろう。
もっとも、商圏が重複する店舗の整理によって物流効率や配送網の最適化が進めば、統合によるコスト削減効果は大きいとみられる。それだけに「どの店舗を残し、どの店舗を閉鎖するのか」「どういったサービスを残すのか」という判断は、消費者の満足度、ひいては「統合後の成否」を左右する重要なポイントとなりそうだ。
福岡県久留米市の「ベスト電器安武店」は一旦閉店、リユース店となったものの空き店舗に。そのためベスト電器が再出店して自社活用されている。「空き店舗にしておくよりもいい」ということだろうか(写真:若杉優貴)こうした店舗網の再編は、統合に伴う課題の一つにすぎない。今回の経営統合で、統廃合以上の大きな壁となる可能性があるのが、公正取引委員会による「企業結合審査」だ。
実は、2012年にヤマダ電機(当時)がベスト電器を子会社化した際にも、独占禁止法上の問題から一部店舗を閉店し、競合他社への店舗譲渡を余儀なくされた過去がある。次回は、その前例を振り返りながら、ヤマダ・エディオン統合に立ちはだかる独占禁止法の壁について考察する。
(撮影協力:淀津昇)
ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
大量閉店のヴィレヴァン かつての“サブカル王者”が失速した「3つの誤算」とは?
ヴィレヴァン復活のカギは? “個性”を手放す勇気か、それとも磨き直す覚悟か
大阪のオフィス街・淀屋橋が一大観光地に? 展望施設が生む“人流と価値”の方程式
「買い物だけでは生き残れない」 足湯もオフィスも抱え込む、地方百貨店の生存戦略Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング