都市商業ライター。大分県別府市出身。
熊本大学・広島大学大学院を経て、久留米大学大学院在籍時にまちづくり・商業研究団体「都市商業研究所」に参画。
大型店や商店街でのトレンドを中心に、台湾・アニメ・アイドルなど多様な分野での執筆を行いつつ2021年に博士学位を取得。専攻は商業地理学、趣味は地方百貨店と商店街めぐり。
アイコンの似顔絵は歌手・アーティストの三原海さんに描いていただきました。
西日本、とりわけ中国地方のロードサイドを走ると、青い看板の大型家電量販店「エディオン」をよく見かける。そのすぐ近くには赤い「Y」の看板を掲げる業界最大手「ヤマダデンキ」がある――こうした光景は、この地域では決して珍しくない。さらに九州地方では、ヤマダグループとなった「ベスト電器」を加えた“三つどもえ”の競争が続く地域も少なくない。
6月5日、家電量販店国内最大手のヤマダホールディングス(以下、ヤマダHD)と、西日本を地盤とするエディオンが、経営統合に向けた協議を進めることで基本合意したと発表した。両社によると、2027年10月に共同で持株会社を設立。本社は東京に置き、両社がこの傘下に入る形となる。双方の店舗ブランド(屋号)は当面は維持するとしている。
この大統合が実現すれば、連結売上高は約2.5兆円、店舗数はフランチャイズを含め約1万店舗規模となる。名実ともに、世界有数の家電を中心とした大型流通グループが誕生する。
一方で、経営統合には経営規模や企業文化の違い、メーカーとの取引関係など、乗り越えるべき課題が数多く残されている。6月5日に東京で開いた記者会見では、ヤマダHD創業者の山田昇氏が「対等合併」であることを強調したものの、業界内では「統合は一筋縄ではいかないかもしれない」との見方も少なくない。
その中でも、とりわけ大きな課題となりそうなのが「店舗網の再構築」だ。今回は両社の店舗網に着目し、統合に立ちはだかる課題を読み解いていきたい。
今回の経営統合は、単純に「1+1=2」とはなりそうにない。
北関東から成長を遂げたヤマダデンキは、これまで九州、沖縄、中国、四国を地盤とする「ベスト電器」、関西を地盤とする「マツヤデンキ/CaDen」と「セイデン」、東京を地盤とする「サトームセン」などを傘下に収め、躍進してきた。
また、エディオンは九州、沖縄、中国、四国を地盤とする「デオデオ」、関西を地盤とする「ミドリ電化」、東海を地盤とする「エイデン」、関東を地盤とする「石丸電気」、北陸、山陰、北海道を地盤とする「100満ボルト」の経営統合によって生まれた企業だ。
このように、両社が現在の姿になるまでには企業再編の積み重ねがあり、多くの企業が関わってきた。しかし、それらの多くは地盤とする地域が異なり、店舗商圏の重複も比較的少なかった。
そのため、統合後に閉店した店舗はヤマダ傘下となったサトームセンやマツヤデンキなど、小型店や時代に合わない店舗、老朽化した店舗が中心だった。
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