なぜ韓国は世界でヒットを連発し、日本は540億円を溶かしたのか 「クールジャパン」の誤算スピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2026年09月02日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

スパイバーとは、どんな会社なのか

 スパイバーは、石油などの化石資源に依存せず、植物由来の糖類などを主原料とする構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン(Brewed Protein)」を開発した。「THE NORTH FACE」「Goldwin」などのアパレルブランドと協業し、ニットやアウターなどの量産製品を展開したことで、大きな話題となった。

 この新素材の用途は、繊維だけにとどまらない。例えば、トヨタグループのスタイルドカーブランド「CORDE by」(コーデバイ)が手掛けた、ランドクルーザープラド特別仕様車「NEWSCAPE」(ニュースケープ)のシートカバーにも採用された。

ランドクルーザープラド特別仕様車「NEWSCAPE」(出典:公式Webサイト

 ブリュード・プロテインの可能性は、それだけにとどまらない。繊維だけでなく、樹脂やフィルム、塗料、食品、添加剤など、さまざまな形に加工できる。石油などの化石資源への依存を減らせる素材として、幅広い分野での活用が期待されていた。

 「いや、確かにすごい可能性を感じるけれど、なんかクールジャパンって感じでは……」と疑問に思う人もいるだろう。日本の官僚たちが考える「クール」とは、こういうものなのだ。

 「クール・ブリタニア」を掲げた英国や、「クールコリア」を推進した韓国の場合、自国の文化やコンテンツの中で、世界で勝てる分野を「クール」と位置付け、集中的に投資・支援する。

 しかし、日本の場合はスパイバーの新素材のように、自動車、アパレル、素材、食品加工など幅広い分野の国内産業に恩恵があることこそが「クール」なので、どれだけ世界で評価されていても、文化やコンテンツへの投資・支援は手薄になってしまうのだ。

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