Lumada 3.0の代表例が、AIを活用したサービス群「HMAX」(エイチマックス)だ。HMAXは、日立の鉄道事業からスタートした。鉄道インフラや作業現場にカメラやセンサーを持ち込み、車両、線路、架線などの状態を示すデータを取得。データをAIで分析し、鉄道の運行と保守を最適化した結果、保守コストを15%削減した例があるという。
鉄道分野から始まったHMAXは、交通システム向けの「HMAX Mobility」、エネルギーインフラ向けの「HMAX Energy」、産業現場向けの「HMAX Industry」、金融業務向けの「HMAX Finance」へとラインアップを拡充。フィジカルAIの実装を支えるサービスと位置付けて、展開を加速させている。
9月3日には、新たに4種類のHMAXサービスを発表した。AI時代に欠かせない社会インフラとなったデータセンターの運用自律化や全体最適化を実現する「HMAX Data Center」、フロンティアAI(先進AI)を活用してセキュリティ対策や復旧を支援する「HMAX Cyber」、暗黙知や現場データを統合するデータ基盤「HMAX Data Fabric」、AIの不適切な挙動を抑制する「HMAX AI Operations」を提供する。合わせて、専門家チームが現場実装に並走する「Physical AI FDEサービス」も用意した。
「HMAXによって、フィジカルAIの社会実装を加速させ、自律進化するデジタルインフラの実現に向けて取り組む」(徳永氏)
フィジカルAIによる「自律進化するデジタルインフラ」の実現を目指す日立。しかし、それはゴールではない。徳永氏は、日立が描く未来社会に向けて、社会そのものが自律的に進化する姿を熱く語った。
「フィジカルAIとは、日立が描く『ありたい社会』、すなわち環境、幸福、経済成長が調和する『ハーモナイズドソサエティー』の実現に向け、なくてはならないものだと考えている。ハーモニー(調和)は、日本が古くから大切にしてきた考え方だ。(中略)利用者を思いやるおもてなしの心、わずかな異常も見逃さない気配り――複雑に絡み合う多様な要素を1つに調和させる考え方が、日本社会を形作ってきた。そんな日本社会が育んできた高品質な製品や、そこから生まれる高精度なデータ、運用ノウハウは、フィジカルAIの実装に欠かせない資産だ。私は、日本だからこそハーモナイズドソサエティーを実現できると信じている」
基調講演の終盤に、徳永氏は日本発で社会を変えることができると、力を込めて訴えた。
「ハーモナイズドソサエティーの実現には多くのハードルがある。(中略)しかし、私たちの目の前にある真っ白なキャンバスに、皆さまとともにありたい社会像を描き、その実現に取り組みたい。かつて英国から産業革命が始まったように、インターネット世界のつながり方を変えたように、今度は日本発の挑戦で未来を変えよう」
そして、同講演内で最も大きな声で「今すぐやろう、日立とともに」と発して、基調講演を締めくくった。
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