渋谷の街の人たちが「若者の街」というイメージを本格的に嫌い出したのは、1990年代後半の援助交際ブームからだったように記憶する。
特に渋谷センター街がそのメッカのように報道されるのに納得がいかず、渋谷に集まる若者に商品を供給する、ファッションビルにも批判的な声が多かった。もっと落ち着いた大人の街にしていきたいと、まちづくりの方向が決まっていった。
2020年に開催予定だった東京オリンピックに向けて、渋谷の街を大改造する際には、東急グループが先導。渋谷駅を中心に複数の駅と直結する複数の高層ビルを建て、IT企業などのオフィスビル、インバウンドの観光客が泊まれるホテル、飲食・ファッションなどの店舗が入った商業施設を企画した。その結果、確かに渋谷は大人の街に変容しつつある。
オフィスやホテルの稼働状況は、抜群の利便性のために好調であるが、新しい商業施設では、Shibuya Sakura Stage、渋谷アクシュのように苦戦するところも出てきている。実際、渋谷の高層ビルの下層階にある店舗は厳選してリーシングをしているにもかかわらず、面白味に欠けて画一化して見えてしまっている。1つのグループが人工的にまちづくりを行う“発想の限界”という弊害が出ているのではないか。
東急グループには渋谷のストリート文化を破壊する気はないだろうが、伝統的に駅を中心に開発をしてきた企業風土がある。もう一つの極であるセゾングループが消滅し、渋谷のストリート、路地を前に進める原動力が衰えているような気がしてならない。
西武渋谷店とハンズ渋谷店の閉店は、若者文化から大人やインバウンド向けの文化へと渋谷が変わる大きな転換点になるのは間違いない。しかし時代の流れによって、ストリートの衰退の決定打につながらないかを危惧している。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
カインズに売られた「東急ハンズ」は、なぜライバル「ロフト」と差がついたのか
相次ぐ閉店――ロフトとハンズ、巨大店舗が直面した”壁”とその“打ち手”とは?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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