海外進出している日系企業の多くは、現地法人が稼いだ利益の全額を日本に送金するわけではない。円安が進行し、為替リスクも大きいからだ。そのリスクをヘッジするため、利益の一定割合を現地通貨のまま保有し、海外での設備投資や店舗網の拡大などに注ぎ込むのだ。
この問題はかねて多くの専門家が指摘しており、海外に進出しているグローバル企業の対外直接投資の5〜6割は、再び海外への投資に振り向けられるともいわれている。
中国に進出した日系企業が「はま寿司」のように現地で爆速成長したところで、そこで得られた利益は、中国元のまま中国国内の店舗網、原料調達、人材育成、宣伝、人件費などに充てられるか、ベトナムなど経済成長が見込まれる新興国への投資に回される。もちろん、会社の業績が上がれば株主には恩恵があり、日本国内で「低価格・高品質」のサービスを維持できれば、日本人にもメリットがある。
一方で、中国への投資が増えることで、日本国内への投資が相対的に減ることで、「国富の海外流出」につながる側面もある。2025年の対中貿易赤字が7兆9147億円に達し、対中東の6兆8975億円を上回っていることからも、中国との貿易規模の大きさがうかがえる。
このような日本企業の「中国依存」と比べると、実は中国人インバウンドへの依存のほうが、日本経済への波及効果は大きい。観光消費は日本国内でお金が使われているので内需(国内消費)のようなイメージがあるが、国境を越えて訪れた人々から外貨を稼いでいるわけなので「輸出」として扱われる。
中国人観光客が中国の決済サービスを利用したり、中国人が経営するホテルや旅行代理店を利用したりすることで、日本国内に落ちるお金が目減りする面はある。それでも、そこで使われたお金の多くは日本国内にとどまり、市中を循環する。
大きな輸出企業があると下請けが潤ったり、「城下町」の経済にもプラスに働いたりするように、「中国人インバウンド」という一種の輸出産業は、日本人にも大きな恩恵をもたらすのだ。
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