「自動運転AI」開発、ティアフォーが見る“日本の勝ち筋” WaymoやUberら黒船続々、勝機はどこに?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/2 ページ)

» 2026年09月27日 08時00分 公開
[古田拓也,ITmedia]
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WaymoもUberも単身で日本上陸できないワケ

 世界モデルや運転AIがいくら高精度でも、日本の道路運送法では、タクシー事業の許可を持つ事業者と組まなければ旅客を運べない。日本勢は、事業免許という参入障壁を乗り越える策を提供することで、先行する海外の自動運転企業との提携を実現させているといえよう。

 Waymoと手を組んだGOと日本交通が握っているのは知見と実績だ。顧客接点、車庫、乗務員の教育、国土交通省や警察庁との許認可交渉。グローバル企業のAI基盤だけでは届きにくい、日本独自の参入障壁を和らげるという立ち位置で明確な強みを持っている。

 同様の取り組みは、自動運転タクシーを手掛ける米Uberも進めている。同社は2026年後半に、東京で自動運転タクシーの試験走行を計画中だ。その運行パートナーとして、日の丸交通を選んでいる。

photo 日産リーフにUberの自動運転AIを搭載し、試験走行する(出所:Uberのプレスリリース)

ティアフォーは別の土俵へ 自動運転ソフトを公開する狙い

 一方、こうした日米企業の座組みに入っていないのがティアフォーだ。なぜなら、同社が狙う最終目標は自動運転タクシーではなく、自動車メーカーの量産車に「日本製の頭脳」を載せることにあるからだ。

 2024年10月、同社は松尾研究所(東京都文京区)と組んで世界モデルに基づくAIの開発を始め、オープンソースの自動運転ソフト「Autoware」として公開すると表明した。2026年3月16日にはレベル4向けのソフトウェアスタックを公開している。

photo ティアフォーは3月に、レベル4の自動運転ソフトウェアスタックを公開している(出所:ティアフォーのプレスリリース)

 ティアフォーは自動運転技術スタックに加え、独自の機械学習基盤を用意している。これらを自動車メーカーが活用することで、自社の自動車と走行データを用いて自動運転AIの性能を継続的に改善できる仕組みだ。

 市場もこのすみ分けをポジティブに見ている。7月22日に東証グロース市場に上場したティアフォーの株価は、8月7日の安値871円から9月4日の高値3790円まで、1カ月足らずで4倍超に駆け上がった。時価総額は一時約2408億円に膨らみ、その後急落した。火をつけたのは、8月20日に発表したルネサス エレクトロニクスとの協業で、こちらもレベル4までを見据えたAI基盤を構築するというものだった。

自動運転市場、日本勢の勝ち筋は

 期待が集まるティアフォーは、資本力や技術開発で先行する海外勢に勝てるのか。

 同社の加藤CEOは、量産車への自動運転技術の適用に勝機を見いだしている。冒頭で紹介したXへの投稿にあった通りだ。

 量産モデルの自動運転レベル4を実現できれば、日本の勝ち筋が見えてきます。全力で必達します。しかも国産で。

 ティアフォーの株主でもあるいすゞ自動車は2024年8月、米Applied Intuitionと最大5年間のアライアンスを結び、レベル4自動運転トラックを共同開発している。加藤CEOが「国産で」と強調して投稿したのは、日本の自動車メーカーが量産車の頭脳を米国企業から調達する流れに対するものなのかもしれない。

 同CEOが投稿した文面の重心は「レベル4」というよりも「量産」と「国産」の二語にあると筆者は読む。これは技術ありきの到達点ではなく、産業としての着地点を見据えているものと推察される。

 GO・Waymo連合は2027年、東京で100台規模の無人運行を目指す。

 一方で、ティアフォーと自動車メーカー連合は2028年前後、量産車に国産の自動運転を載せる見通しだ。さらにトヨタ自動車は、2028年にレベル2++の自動運転システムを量販車へ適応するロードマップも示している。

 数年後には、大手自動車メーカー各社の量産型自動運転モデルが出そろうことになるだろう。そこに載るモデルが国産か否か、筆者としても注目したい。

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