改正労働施策総合推進法が施行され、10月1日よりカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)対策が全事業主の法的義務となります。変更が目前に控えているにもかかわらず、セクハラやパワハラなど他のハラスメントと比べて、カスハラへの企業の反応は鈍いように感じます。
カスハラというと小売店や飲食店、病院、鉄道などで働いている人が利用者から受ける暴言や暴力を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、消費者からの被害だけがカスハラに該当するのではありません。
また、カスハラ対策をコストだと捉える経営層もいるかもしれません。ですが、正しいカスハラ対策は企業が提供するサービスの質や生産性の向上につながる可能性があります。
今回は、全企業がカスハラ対策をすべき理由とその効果について、社会保険労務士が解説します。
厚生労働省の資料によれば、カスハラとは(1)職場において行われる顧客などの言動であって、その(2)雇用する労働者が、従事する業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものにより(3)労働者の就業環境が害されるものであり、これら3つの要素を全て満たすものをいいます。
社会通念上許容される範囲を超える例としては
が挙げられます。
また「顧客など」とは、顧客、取引の相手方、施設(駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設など)の利用者、その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者を指します。事業主の行う事業に関係を有する者、すなわち取引先からの値下げや短時間による納品などの無理な要求もカスハラに該当します。
厚生労働省はカスハラに対し、事業主に以下の4つの対応をとるように求めています。
職場におけるカスハラには毅然(きぜん)とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針やカスハラ対処の内容などを労働者に周知して啓発する必要があります。
カスハラに関する相談窓口をあらかじめ定め、それを労働者に周知しなければなりません。併せて、相談窓口の担当者が適切に対応できるようにすることも求められます。
カスハラについての相談があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認しなければなりません。また、カスハラが確認できた場合は、速やかに被害を受けた労働者への必要な配慮をするとともに、再発防止に向けた措置を講じることが求められます。
特に悪質と考えられるカスハラへの対処方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該の対処ができる体制を整備することが求められます。
上記の内容を就業規則へ追記することは必須ではありません。別規定として設けるのも良いでしょう。また、カスハラについて上司などに相談したことを理由として、不利益な取り扱いをされない旨を労働者に周知する必要があります。
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