エンディング産業展で、国立歴史民俗博物館研究部民俗研究系・教授の山田慎也氏と、ものつくり大学教養教育センター・教授の土居浩氏による「伝統的供養への途:近現代における位牌・仏壇の成功史と失敗史」というセミナーを拝聴した。両氏によれば、われわれが「伝統」だと思っている位牌や仏壇も、時代とともに変化してきたという。
中でも興味深かったのが「金写真焼付位牌」の話だ。明治になって写真という新しい技術が普及すると、従来の位牌に遺影を焼き付ける、新しいスタイルが生まれた。その後、異業種から参入したスタートアップ企業によって、遺影を金板に転写する「金写真焼付位牌」が生み出され、新聞広告などを通じて販売されていたという。
われわれは伝統的な世界というのは、時代や新技術の影響をあまり受けず昔ながらのスタイルを守り続けていくものだと考えがちだが、実は、それは「思い込み」にすぎない。
実際、遺体を荼毘(だび)に付す火葬場や、遺骨を納める霊園など、伝統的な世界も、デジタル化によって少しずつ変わり始めている。
例えば近年、問題になっている「火葬待ち」。背景には各斎場の火葬能力に加え、実は「アナログな予約受付」も関係している。
火葬場の予約というのは基本的に葬儀会社が行うものだが、地方自治体が運営する斎場の多くでは、いまだに電話やFAXによる受付が残っている。そのため、ヒューマンエラーも発生しやすい。
斎場担当者と葬儀業者が電話で「○時からなら空いている」などと調整し、その結果を伝えられた喪主が「○時は都合が悪いので、翌日はどうか聞いてもらえますか」と葬儀業者に伝える、といった伝言ゲームのようなやりとりが必要だった。効率が悪いし、スケジュールの見落としも生じる。
そこで、都内で6つの斎場を運営する東京博善(東京都港区)では、Web予約システムを導入。IDとパスワードを持つ葬儀業者は、オンライン上で火葬炉の空き状況を確認できるので、喪主との打ち合わせの場で一緒に空き状況を確認し、予約できる。
他業界からすれば、かなり地味な話かもしれないが、電話やFAXがいまだ主力ツールというこの世界では、こうしたDXは業務効率化につながる。
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