16万5000円の「ロビンマスク」は300体超を販売 広島の鋳造会社が「視界に入るもの全てを金属化」した狙い(2/3 ページ)

» 2026年09月30日 06時00分 公開
[米倉志保,ITmedia]

「まずは作ってみる」からヒット商品に

 自社商品の開発は、5人ほどのメンバーでスタートした。工場に導入した3Dスキャナーや3Dプリンタを使い、当時はバナナや石、たんぽぽなど目の前にあるものを何でも3Dデータにして金属化していたという。

 キャステムの代表取締役 専務執行役員を務める戸田有紀氏は当時を「どういうものを作ってどういう風に打ち出せば売れるのかが全く分からなかったので、視界に入る物全てを金属化していました」と振り返る。

 その1つがバナナを金属化した「メタルバナナ」だ。実物のバナナを3Dスキャンでそのまま金属化しているため、バナナ特有のザラザラした質感、大きさなどが再現されている。自社のECサイトなどで販売している。

 最初はなかなか売れなかったが、「バナナハンマー」として「マイナス40度の世界でなくても、バナナでくぎが打てる」と打ち出したところSNSで話題になった。ブロンズ製で横幅20センチ、約1.5キロの「バナナハンマーDX」(1万1877円)は400個以上、横幅10センチ、約300グラムの「ミニバナナハンマーDX」(3287円)は1000個以上を販売。特に台湾で人気だという。

 この他、本物のカニや牡蠣を型取って制作したすず製の食器なども展開している。

バナナハンマー

 現在、自社商品の開発を担当している社員は約20人。30代の社員が多く、それぞれの趣味や興味が商品開発のアイデア源になっている。定例の商品開発会議は設けていない。話題のコンテンツがニュースになると、社内で「こんな商品が作れるのではないか」と会話が始まる。そこからネットで調べ、アイデアを膨らませているという。

 2019年に発売したモンスターボールを模した虫かご「モンスターボール 虫かご」(1430円)も、会議ではなく社内の会話から生まれた商品だ。モンスターボール同様に真ん中のボタンを押すと開閉する仕組みだ。

 アイデアが出てから1週間ほどで、社内の3Dプリンタで試作品を作り、商品化を進めた。累計販売数は50万個を超えている。キャラクターのぬいぐるみを入れたり、お菓子を詰めたりと、虫を入れる以外の用途にも使われているため、冬にも売れているという。

 戸田氏は「会議で案を出して、良さそうなものを商品化するというプロセスに取り組んだ時期もありましたが、面白みや商品開発のスピード感がなく、脳みそを柔らかくして発想するのが難しかったようです」と話す。

モンスターボール 虫かご(出所:キャステムプレスリリース)

 商品開発のアイデアを全社員から募る仕組みも作った。社内にホワイトボードを設置し、アイデアを書いた社員には賞品としてお菓子をプレゼントしていた。そこで出たのが、広島東洋カープに所属する選手の手型を金属オブジェにするアイデアだった。キャステム本社がある広島にはカープファンが多い。そこで球団に掛け合い、試作品を持ってPRした。

 「カープのグッズは他球団と比べて斬新なものが多く、他球団が作っているような商品では、球団担当者に興味を持たれない。せっかくなので世の中にないものを作るといいのではと、中を空洞にして貯金箱として提案しました」(戸田氏)

 ボールやバットを持つ選手の手を、シリコンで型取りして制作し、しわや指紋も再現。コインを入れる穴を開けて貯金箱として発売した。

選手の手を型取りして制作した貯金箱(出所:キャステム公式Webサイト)

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