永守氏は姿見せず ニデック品質不正「844件」の真相、不正のトライアングルを生んだのは現場か、経営か(1/4 ページ)

» 2026年10月09日 07時00分 公開
[桑原俊明,ITmedia]

 ニデックは9月4日、品質不正問題に関する外部調査委員会の報告書を公表した。同社に関する外部調査報告書の公表は、3月3日(最終報告は4月17日)の会計不正問題の報告書に続くものである。

 会計不正問題の調査にあたった第三者委員会は、報告書の末尾で「今回の問題は、市場に提示した数値上の目標達成にこだわるあまり引き起こされた会計の問題である」とした上で「モノづくり企業としてのニデックの実力は厳然として存在する」「モノづくり企業としてのニデックの真の実力を市場に示すことができれば、市場からの信頼は確実に回復すると考えている」と結んだ。

 それからわずか半年。そうした第三者委員会の期待をも裏切る、モノづくり企業の根幹に関わるような不正の実態が次々と明らかになった。なぜ、こうした問題が起きたのか、防ぐことはできなかったのか、そして信頼回復のために何が必要なのか。本稿では品質不正問題の報告書を読み解きながら探っていきたい。

photo01 ニデックの品質不正問題に関する外部調査委員会の報告書の内容から、組織の課題を探る(提供:ゲッティイメージズ)

著者プロフィール:桑原俊明(くわばら・としあき)

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エイレックス取締役・エグゼクティブコンサルタント。1984年、朝日新聞社に入社。岡山支局勤務後、経済記者として大阪・東京で証券、流通、電機・機械、エネルギー、鉄鋼、化学・繊維などの幅広い業界を担当した。大阪経済部デスク、鳥取・新潟総局長のほか、財務本部の部長職などを経験したのち、2018年から24年までテレビ朝日系新潟テレビ21で取締役・常務を務めた。2024年にエイレックスに入社し、25年から現職。


12事業部で844件、2012年から常態化 「品質不正」の全貌

 外部調査委員会の報告書は、ニデックグループで合計844件の品質不正事案(報告書では「品質不適切行為」と呼んでいる)があったことを指摘した。内訳は「重要品質事案」とされたものが60件、「一般品質事案」が784件である。

 重要品質事案とは、組織的な関与や、法令・認証などへの違反の疑いといった、重大性が高いと調査委員会が判断した5つの基準にあてはまる事案だ。このうち、法令・認証違反などの件数は明らかでないが「組織的な関与」については20件程度であることが記者会見で明らかにされた。ただし、「組織的」とはあくまでグループの役員や拠点長が関与しているかどうかが判断基準であり、世間一般でいわれる「組織的」よりは幅が狭い概念と捉えた方がよさそうだ。

 また、行為類型別にみると、4M変更違反が805件(うち重要品質事案28件)、試験・検査結果の改ざん・ねつ造22件(同22件)、検査・製造条件違反11件(同5件)、規格外品・未承認品の使用・出荷4件(同3件)、部品・材料に関する記録の作成・管理違反2件(同2件)となる。

 全件数の95%を占める「4M変更違反」とは、製品の製造や試験・検査に用いる「人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、方法(Method)」(4M)を変更するに当たり、顧客に対する事前の申請や、承認といった必要な手続きをせず実施したものを指している。

 報告書では、顧客の承認を得ずに、不適合となった部品の一部を再利用して交換、再加工、再組み立てを行っていた事例や、車載用内装部品の構成部品に顧客の承認なく再生樹脂を使用した事例などが具体例として示されている。4M変更違反が多い理由について、調査委員会は会見で「合理化すればするほど、4M変更申請が必要な案件がたくさん出てくる。そうしたことが影響している」と答えている。

 また、ニデックではグループ会社や事業本部など事業管理の単位を「BU」と呼んでおり、全部で18のBUがあるが、このうち12のBUで品質不正事案が認められた。品質不正がグループ全体に広く及んでいたことがうかがえる。

photo02 調査において認められた品質不適切行為のBU別内訳(出所:ニデック「品質不正問題に関する外部調査委員会の調査報告書」)

 調査委員会によれば、一連の品質不正は2012年から確認されている。それ以前は調査の対象になっていないため確認できないとしている。調査委員会の伊丹俊彦委員長は会見で「長期間にわたり、業務運営に組み込まれ、反復・継続されていたことが明らかになった」と総括している。

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