同社はデータ基盤の構築とともに、SaaSをはじめとするツールを効果的に活用できるよう、環境整備も強化。デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)である「WalkMe」を戦略的活用する方針を掲げる。
WalkMeの運用は各事業部へ任せるのではなく、あえてIT部門に集約する「中央集権型」の組織体制を採用。専門チームがノウハウを集約し、高品質なユーザーサポートを提供することで、現場の満足度向上とスピーディーな仕様変更への対応を実現した。
その成果が表れた事例が、経費精算システム「SAP Concur」の利用改善だ。コロナ禍後の出張が増加したタイミングで、同社では約1万3500人の社員が1人当たり月に2.5時間、SAP Concurを使用していた。
WalkMeの全社展開を担う松山氏らは、的確な操作ガイドをSAP Concurに実装。操作に悩む時間や入力ミスによる手戻りを減らした。その結果、1人当たりの利用時間は月に2.1時間に減少。これは社内全体で年間約6.5万時間の業務削減という計算になる。
さらに、ユーザーの「慣れ」による自然な時間短縮などをデータを用いて除外し、WalkMe導入による効果を分析したところ、削減時間は年間約3.5万時間に上ったという。
どのシステムにWalkmeを導入するかを判断する上でも、データドリブンな意思決定をできるよう意識してきた。
「現場の“勘”ではなくデータで判断しました。利用状況を可視化するWalkMeの『ディスカバリー機能』などを使い、社員のPCログから『多くの人が時間を費やしているシステムや機能』を特定し、優先的に導入して操作ガイドの適用などを実施しました」(松山氏)
社内システムの適切なハンドリングと定着化を進めてきた旭化成。松山氏は、バックオフィス業務を企業同士がノウハウを共有できる「非競争領域」と捉えていると話す。
どの業務を改善し、誰が運用を担い、効果をどう確かめるか。旭化成が向き合ってきた問いは、他の企業にも通じる。削減時間という成果だけでなく、そこに至る判断や試行錯誤を共有することが、各社の改善を前に進める手掛かりとなるだろう。
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